『an・an』流、女子の"気分"のとらえ方 売れるも売れないも”僅差”だった!

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――“僅差”ですか。特集を作る際にも、同じような点が大事になるのでしょうか。

そうですね。まず前提として、雑誌を作る際に最も意識しているのは、「女子感」です。『an・an』のメインの読者は25~30歳の女性ですが、30代、40代の層も一定数は買ってくださっている。読者は、年齢や職業に関係なく「女子的な感覚がある人」なんだと思います。

彼女たちの興味は実にさまざまなので、『an・an』では恋愛やメーク、占い、セックス、仕事、ダイエットなどなど、それこそファッション以外はなんでもやろうと考えています。ファッションについては専門誌がたくさんありますから。

それから、一つひとつの特集を作る際に重視するのは、細かなターゲティングです。たとえばダイエットの号は、「足とお尻をなんとかしたい」と悩む人に向けて作ったり、恋愛の号は、「結婚したいんだけど、相手が煮え切らない。なんなの男は?!」と嘆く人に向けて作ったり。その都度、かなり細かくターゲットを定めるようにしています。

――確かに『an・an』の特集は、かなり潔くテーマを絞り込んでいると感じます。

今、どんどんその傾向を強めています。ダイエットにしても、昔は「緊急!ダイエット」みたいな、漠然としたタイトルで売れましたが、今は当たり前すぎるし、広すぎますね。

女性の声をもっと聞いてみると、「この時期、やっぱり足が気になるよね~」とか、「二の腕がヤバイけど、あのタレントさんどうケアしてるんだろう」とか、細かいニーズがあるわけです。そこに、思い切ってテーマを絞り込む。

タイトルの打ち出し方にも工夫が必要ですね。最近だと「正月太りを“なかったコトにする”集中ダイエット」というタイトルをつけた号が、わりと売れました。正月太りって、自分で食べちゃったから仕方ないとわかっている分、「なかったことにできればなぁ」という気持ちが大きいはずです。

そういう女子的な気分や雰囲気、あるいは不安や痛み、モヤモヤを探って、タイトルや中身で表現していくことが大事だと思います。

名古屋特集でも、B級グルメしか取り上げない

――6月19日発売の旅行特集も、地域ごとに取り上げるポイントをものすごく絞っていますね。

そうですね。なんとなく京都、なんとなく南の島、とかではなく、一つひとつテーマをはっきりさせています。たとえば「竹富島でキレイになる旅」なら、ステイしながらエステざんまい、地方の特産物ではなく徹底的に体にいいものを食べまくる。そんな紹介の仕方をしてみました。

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