「トランプ経済政策」が実行しにくい根本理由

自己流で進められることは限られている

トランプ大統領は「キャビン・フィーバー」にさいなまれている?(写真:Carlos Barria/ロイター)

英語に「キャビン・フィーバー(Cabin Fever=閉所熱)」という言葉がある。閉鎖された場所(キャビン:小屋)に閉じ込められた結果、精神的に不安定な状態になることを指す言葉だ。就任して1カ月余り、今のドナルド・トランプ大統領はまさにこの状態にあると言っていいだろう。

2017年2月18日、トランプ大統領はフロリダ州で遊説を行った。首都ワシントンを離れ、大勢の支持者を集めた選挙運動スタイルでの遊説を行った理由は、トランプ大統領のキャビン・フィーバー対策だったと伝えられる。自由気ままなニューヨークでの生活から、ワシントンのホワイトハウスに閉じ込められて約1カ月。政権運営は暗礁に乗り上げており、大勢の支持者の声援を受けさせることで、トランプ大統領を元気づける必要があったという。

はね返される「トランプ流」

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実際、政権運営は、「大統領の壁」に突き当たっている。

国政経験の少ない大統領は、過去にも多かれ少なかれ、自己流の政権運営が通用しない現実に直面してきた。たとえば、アーカンソー州知事だったビル・クリントン大統領は、1992年の大統領選挙で当選すると、地元アーカンソーから旧知のスタッフを引き連れて、意気揚々とワシントンに乗り込んだ。

ところが、経済再建が売り物だったはずが、当時は世論が割れていた同性愛者が軍務に就くことを禁じた規定の撤廃問題にまず取り組んでしまったことなどから、いきなり乱気流に突入してしまう。ワシントンのしきたりを知らない大統領とスタッフの下で、政権の指揮系統は大きく混乱。1993年5月には、ワシントンの政治のプロであり、1980年代にはロナルド・レーガン政権にも参画していたデービッド・ガーゲン氏が、軌道修正のために招聘された。

政治の経験がないトランプ大統領に、ことさら高い壁が立ちはだかるのは当然だ。就任早々からトランプ大統領は、矢継ぎ早に公約の実現に乗り出した。閣僚の議会承認が遅れるのも、お構いなし。スティーブ・バノン首席戦略官など、少数の側近に頼った拙速な政権運営には、ビジネス界のスピーディな展開を、そのままワシントンに持ち込もうとする「トランプ流」の思惑が見える。

しかし、そうは問屋が卸さない。関係官庁や議会への根回しもなく発表された移民・難民の入国禁止に関する大統領令は、全米で大きな混乱を巻き起こした。数多く発表された大統領令の中には、ホワイトハウスのホームページに掲載された文言と、正式に発表された文言に相違があるなど、政権運営の混乱は明らかだ。

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