「万引犯の疑い」顔公開は何がマズかったか 私刑や実力行使は法で認められていない
万引の嫌疑のある人の写真や映像を掲載し問題に
今月、コンビニエンスストアやメガネ店で、万引の嫌疑のある者(以下では単に「万引犯」と言いますが、あくまでも刑事裁判で有罪が確定するまでは万引犯と断定することができないことをご承知ください)の写真や映像を店内やホームページなどに掲載したことが問題になりました。
同店舗等が謝罪をしたうえで、当該写真の掲示を取りやめるということもあったようです。
この問題に関しては、賛否さまざまな意見があろうかと思います。大きな対立は、お店の被害と掲示による弊害でしょう。
(1)お店の被害の深刻さと犯人として掲示されることの弊害
万引によるお店の被害は深刻で、その回復は容易ではありません。たとえば書店では本を1冊盗まれると、その被害を回復するためには別途10冊以上売り上げなければならないといわれることもあり、また、2009年の推計によると、小売業における万引の被害総額は4615億円という甚大なものであると報告されています。万引犯による重大な被害に苦しめられた小売店が、何とか打開する手はないかと考え、被害の大きさに悩み追い詰められた結果として、写真掲載という手段を採ってしまうのかもしれません。
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