安倍首相は対トランプ異種格闘技に勝てるか 「日本も米国と同じ金融政策」は通じない

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いよいよ10日はトランプ大統領との日米首脳会談。安倍首相は「異種格闘技」で勝てるのか?(写真は2007年、AP/アフロ)

米国のトランプ大統領が、日米首脳会談を控え、ついに日本の金融政策にかみついた。発言の趣旨をまとめれば、以下のようになる。

「他国は資金供給と通貨切り下げで有利な立場をとってきた。中国や日本は何年も通貨安誘導を繰り広げている」

これに対して安倍晋三首相は国会で「日銀の金融政策は2%の物価安定目標達成のためであり、円安誘導という批判はあたらない」という見解を示した。それとともに、「リーマンショック以降、米国も、われわれと同じ政策をやり、経済を引き上げ、リーマンショックを乗り越えた」とトランプ大統領に反論する姿勢を見せた。

トランプ政権の標的は中国のように見えるが……

トランプ大統領が日本の金融政策にかみついたことで、10日に開催される予定の日米首脳会談の緊張感は否が応でも高まった。はたして安倍首相はトランプ大統領の批判にうまく対応できるのだろうか。国会での答弁を聞いている限り、トランプ大統領の批判に効果的に反論することを期待することは難しそうだ。

まず、古い事実に基づいた事実誤認に基づく発言が多いといわれるトランプ大統領の発言だが、日本や中国の金融政策に対する批判も基本的には同じである。

確かに2014年以降元安に見舞われていた中国は、2015年に元の基準値を3日連続で切り下げ、対ドルで約4.5%切り下げ世界に衝撃を与えたことがある。しかし、この基準値の切り下げ自体は市場実勢に基準値を合わせるというテクニカルなものだったこともあり、その後は通貨安誘導を繰り広げているわけではない。

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