鉄道写真家の「危機管理術」は何がスゴいのか

プロは、事前準備を慎重に時間を掛けて行う

富士山をバックに走る東海道新幹線。完璧な写真を撮るためには危機管理が欠かせない(筆者撮影)

「私、失敗しないので」が決めセリフの医療ドラマがある。主人公の女医は決して天才ではなく、つねに頭の中でシミュレーションを繰り返している。手術中にピンチに陥っても冷静に対処し、結果として失敗しないのだ。

鉄道写真家も同様だ。私がプロの鉄道写真家を目指していた学生時代、ある先輩の写真家から言われた言葉がある。それは「プロとして必要なのは失敗しないこと」という一言であった。もちろん、失敗の中から成功作を作り上げることもあるので、この言葉をもう少し補足すると「絶対に失敗できないシーンでミスをせずに撮影する、どんなに失敗しても最終的に成功させる」といった意味合いだと解釈している。

天候は複数サイトでチェック

失敗しないためには撮影現場に赴き、本番の瞬間を迎えるまでにさまざまな準備が欠かせない。今回は私が撮影という仕事を行ううえで配慮している危機管理について少しご紹介しよう。

まず、鉄道写真の現場はそのほとんどが屋外になる。作例1は晴天時には必ず撮影者がいるほど有名な撮影地、静岡県富士市の東海道新幹線と富士山を撮影する場所の1枚だ。この1枚を撮影するうえでもこの現場に行く前から失敗しないための準備を多く行っている。

その中でもまず考慮したいのが現地の天候である。この撮影地の場合、富士山が見えなければ元も子もなく、移動経費も時間も無駄にしてしまう。そこで出発前にインターネットで天気予報を念入りにチェックするのだが、単純にチェックするだけでなく、その天気予報サイトの傾向を考慮し、複数のサイトを合わせてみるのが私のスタイルだ。

たとえば同じ「晴れ」の予報でも、複数のサイトを合わせて閲覧すると、サイトによって若干のずれが生じることがある。その際は、過去の自分の経験から、その予報サイトが「晴れ」寄りの予報をするサイトなのか「曇り」寄りの予報をするのかを考慮し予報を自己流で読み解く。

最近は地域別だけでなく、時間別に細かな予報が出るサイトがほとんどだが、大まかな予報が「晴れ」となっていても一部の時間帯が「曇り」予報になっていると、天気予報的には「晴れ」という判断でも写真的に「晴れ」かどうかがあやしくなってくる。特に、富士山の場合、綺麗にその姿を写しこみたいのでできれば可能な限り雲がない状況が望ましい。

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