2800万を数日でゼロにしかけた株投資の罠 慢心、油断、没頭が5つのリスクを招いた

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Jトラストは、前年に会社更生法を出した当時の四大消費者金融の一角と言われた武富士の買収最終候補に残り、もし決まればインパクトが大きいので株価が急騰する、と私は考えました。「信用二階建て」と呼ばれる、現物株を買って、さらにその現物株を担保にして同じ銘柄を買うというリスクの高い投資をしてでも買い集めようとしました。

買収に決まるのは消費者金融業の運営経験のあるAPファイナンスかJトラストのどちらかだろうと予想していましたし、仮に、買収先として選ばれなかったとしても、高成長により長期的には株価が上がることには変わりないと思っていました。

具体的には2011年1月中に平均380円くらいで3万株購入。2月に入ってから平均480円くらいで1万株、2月18日にアイフルを利益確定後は、平均480円くらいで1万8000株購入し、現物分信用分込みで5万8000株、そのうち信用分が2万株というところまで買い増ししていました。

ところが株を抱えることに

しかし、武富士の件は延期となり、買いすぎの信用分の株を抱えることになりました。ここで、本来は信用分だけでも売るべきだったのですが、決定の延期だけでしたので、「このまま持っていればいいや」と、1株も売りませんでした。ただ、そもそもJトラストは1日に20万株ほどしか取引されていませんでした。

アイフルの利益が確定した時点で私の金融資産は2000万円となっており、さらに震災前にJトラストは580円程度まで値上がりしたことにより含み益が800万円になり、資産は2800万円程度になっていましたが、信用分も含めるとJトラストを3400万円分保有している状態でした。他にも優待株や低位不動産株などの現物株800万円分も持っていましたので、信用二階建てで実質4200万円以上の株を保有している状態でした。それも、含み益がかなり乗った状態で。

後で振り返ると3月11日に東日本大震災が起こるワケですが、その直前に一時期Jトラストの株価は落ちてきていました。その時点で私は「単なる調整」とたかをくくっていました。

そして、東日本大震災が起こります。翌週の月曜日(3月14日)から、リスクオフの流れになりほぼすべての株が全面安の展開になりました。私が保有しているような時価総額の低い新興銘柄はほとんどの銘柄が1日の値幅制限限界(ストップ安)まで売り込まれ、ストップ安でも買いが少なく売りたくても売れない状況になりました。

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