2800万を数日でゼロにしかけた株投資の罠 慢心、油断、没頭が5つのリスクを招いた

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父親はその時点で株式投資から離れていたこともあり、冷静に見ていました。そして「明日、間違いなく寄るから心配するな」とアドバイスを受けました。当時の私は心配しかありませんでしたが、父親に相談したことで少し落ち着くことができました。一息ついた私は、ここで翌日の方針を考えました。そして、1日で処理を終えるぞと自分で決めました。

ただ、取引開始前から5万8000株という大量の株を成り行きで売るという注文を入れると、売買が成立しない恐れがありましたので、注文は相場の動向を見ながら入れることにしました。

寄り付きは299円と前日終値比26円下落でした。その後、リバウンド上げがありましたので、それにぶつける形で私は信用分の持ち株を処分していきました。信用取引の損切りにはマイナス分の現金の支払いが必要です。そのため、私は損失分の支払いに必要な現物株も売却しました。

現物株を4万6000株から2万株まで減らしたものの、信用取引分をすべて手仕舞いして、損失分の支払いも済ませることができました。予想より高く寄ったことにより、思った以上に現物株を残すことができました。

私は、これでようやくほっとしました。ある程度冷静になれた私は、ここが底だという判断もできましたので、2万株残った現物株はそのまま保有しておくことにしました。

追証をどう処理したのか

他の現物株はほぼ売却済みとはいえ、300円のJトラスト株が2万株残りましたので、資産は600万円程度残りました。とはいえ、追証が発生しています。「明日までに百数十万円の現金を入れてください」という赤いメッセージが出ていました。

あとは、これの対処が必要でした。そこで、証券会社に電話をします。信用分の株式を全部売却したので、支払いを免除してもらえるよう交渉するつもりでした。相手は若い女性でしたが、信用分の株式が全部売却済みであることを確認すると、あっさりOKしてもらえました。証券会社としても、顧客のマイナス資産を補填する羽目にならないのであれば、大丈夫とのことでした。私などよりも震災で資産額がマイナスになっている顧客の案件のほうが大変だという話でした。

これで、私はようやく全部の処理を片付けられました。あと2日間、Jトラスト株が寄って(売買成立して)いなければ、確実に破産していました。何がいけなかったのでしょうか?

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