銀行のキャンペーンに乗るとカモネギになる おカネを増やしたい人は何をすればいいのか

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参加者の中には、「自分はうまい話にはだまされない。話を聞いてみるだけだ!」と思っている人もいるでしょう。しかし、話だけ聞いてみようと思った時点で主催者の思うツボです。

なぜでしょうか。相手は「買う気のない人」をその気にさせて契約につなげることを仕事としているプロの営業マンです。甘く見ないほうがいいでしょう。セミナーでもメリットばかり強調されて、デメリットや注意点については、ほとんど言及されません。よほど予備知識のある人以外は、話だけ聞いてみようなどと思わないほうが賢明です。このような仕組みで開催されるセミナーや相談会で、中立公平なアドバイスが期待できるはずはありません。

「カモネギ」な客にならないためには

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では、「カモネギ」な客にならないためにはどうしたらいいのでしょう。

まっとうな情報を収集したい場合は、ちゃんとおカネを払ってアドバイスをもらうことです。消費者にとって有利な商品は、売り手にとって儲からないことも多く、キャンペーンも企画されません。情報収集力があり、意識の高い人が利用しているそういった商品やサービスを知りたかったら、自分で勉強するか、おカネを払ってプロにアドバイスをもらうことです。

しかも、「相談相手からは何も買いません!」と宣言をしたうえでアドバイスをもらうことが重要です。そうすることで、商品販売ありきではない、貴重なアドバイスが得られるでしょう。価値のあるものは、残念ながらタダでは手に入りません。無料でおいしい特典が付いているということは、そこで得られる情報はバイアスがかかっていると認識すべきです。

読者のみなさんは、キャンペーンなどに惑わされずに、自分自身にとって必要な取引のみを行うようにしてください。無料や特典付きのセミナーや相談は、銀行などの金融機関にとっては、最終的には、「提案される商品を購入すること」で、そのコストが回収されます。しっかりした情報やアドバイスが欲しい場合は、有料で確かなアドバイスをもらいましょう。そうすれば、大きな失敗だけは必ず避けられます。

高橋 忠寛 ファイナンシャルプランナー

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たかはし ただひろ / Tadahiro Takahashi

株式会社リンクマネーコンサルティング代表取締役。メガバンクと外資系金融機関で10年超の銀行勤務。法人営業や資産家向け相続ビジネス、資産運用コンサルティング業務などに従事。独立後は投資助言代理業者として、金融商品の販売には関わらない完全に独立した立場で資産運用を中心に、資産管理についての総合的なアドバイスを提供。CFP®、日本証券アナリスト協会検定会員。著書に『銀行員が顧客には勧めないけど家族に勧める資産運用術』(日本実業出版社)など。

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