キタムラが「大量閉店」を決めた本当の理由 総務省のスマホ販売規制と報じられたが・・・

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キタムラは写真館の「スタジオマリオ」やアップル製品の修理などを行う「Apple正規サービスプロバイダ認定店」などの店舗を拡大させる一方で、カメラのキタムラ内にそれらの店舗を併設する「複合型店」の出店も推進してきた。店舗のスクラップ&ビルドは従来から「戦略の一環として実施している」(菅原氏)のだ。

スマホ販売についてはIR資料で「総務省のタスクフォース(規制を決めた会議のこと)の影響で販売数が減少した」と明記されている。菅原氏も「販売台数や売り上げは非開示だが、確かに減少はしている」と認めるが、「それを理由に店舗を閉めたということではない」と断言する。

それでは一体何が原因なのだろうか。

デジカメ苦戦も要因のひとつに

理由の一つとして考えられるのは、売上高の約半分を占める「ハード部門」の低迷だ。ハード部門とは、店舗におけるスマホ、デジカメ、中古カメラの販売を含む中核部門の一つだ。

2016年4〜9月期のハード部門の売上高は、前年同期比2割減の271億円。特にデジカメの落ち込みが顕著で、販売台数は同21%減の21.2万台だった。内訳を見ると、一眼ミラーレスは同10%減の10.9万台だが、コンパクトデジカメは熊本地震の影響でメーカーの生産・出荷が遅れ、同30%減の10.2万台に沈んだ。

デジカメ販売が軟調なのは、スマホ搭載カメラが高機能化している影響が大きい。写真は保存されるよりも、スマホで撮影してSNSなどで共有する人が増えているからだ。さらに痛いことに、インバウンド需要も特に都心部で一服感が見られ、店舗での「爆買い」の動きも鳴りを潜めている。こうした要素がデジカメの販売台数減につながっている。

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