絶好調グノシーが「マンガ」から撤退した事情 利益を大幅上方修正、株価は上場来高値に

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安定的に利益を生み始めたグノシー。福島CEOは「メディアとしての地位が上がり、顧客が離れにくい状態になっている」と自信を見せる。

2016年1月、グノシーは業績予想の下方修正を余儀なくされたことがある。2015年5月にヤフーがスマートフォン版のサイトとアプリを刷新、インフィード広告の販売を開始し、広告主を大量に奪われたからだ。しかし、2016年6月にLINEが同分野に参入した際は、むしろ広告主数を拡大することができた。

マンガをやめた背景に「アプリの好調」

一方、競争から“降りた”分野もある。2015年6月にスタートした「グノシーマンガ」だ。アプリ内で人気シリーズを無料配信するサービスだったが、わずか1年半での撤退となった。

撤退の理由について、福島CEOは「ユーザー層を広げるのがマンガの目的だったが、ニュースパスのほうが効率よく達成できることがわかった。限られた資源をどこに割くかの判断」と明かす。

ただし、マンガは「全世代に刺さるキラーコンテンツ」(業界関係者)。競合アプリも力を入れるだけに、再開の可能性はゼロではないようだ。

今後の成長戦略としては、買収したゲーム攻略情報サイト、女性向け生活情報サイトなどでユーザーの行動・閲覧履歴の分析を深め、配信する広告の効果を高めるための技術開発に力を入れる構えだ。

「前期は業績予想の修正を重ね、市場の信頼を失った」(福島CEO)。今度こそ投資家の期待に応えられるか。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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