DeNAの「WELQ」をめぐる問題が広がりを見せている。DeNAだけの問題にとどまらず、さまざまな企業が運営するサービスに影響を及ぼし始めている。DeNAパレットの一件で盗用への関心が高まった結果、リクルートライフスタイルが運営するキュレーションサイト「ギャザリー」では文章や写真の盗用が行われているとの訴えが相次いでいる。運営者側は著作権の扱いに関して、キュレーターとして登録している外部筆者に責任があるとする一方で、権利者の削除要求には応じている。
同種のサービスは数多く存在しており、今後、さらに多くの情報サービスに対して告発が続く可能性もある。しかし、ひとことでキュレーションといっても、さまざまなサービスや取材方法が存在しており、必ずしも問題サイトばかりではない。
多様なサイトが広告を表示可能に
キュレーションプラットフォーム「antenna*(アンテナ)」を運営するグライダーアソシエイツの杉本哲哉社長は、キュレーション自体が悪くみられることを危惧する。
そもそも、なぜ劣悪なキュレーション情報サイトが跋扈するようになったのか。
「テレビや雑誌の広告は、何より写真や映像、コピーなどのクリエーティブ性が重視された。そのため、広告主は番組や雑誌の質を評価し出稿先を決められた。しかし、ネット広告ではもっと複雑で多様なサイトが広告を表示可能になり、旧来の感覚では管理しきれなくなっている。その結果、ネット専業の広告代理店が増加し、KPI(重要業績評価指標)重視の広告が広がった。その結果、表面上のデザインやKPIだけで広告的価値判断が行われるようになった」
これこそが、ビジネスモデルとしてみた場合のキュレーション情報サイト繁栄の理由だという。
同じキュレーションという言葉を使うアンテナだが、昨今問題となっているサービスとは大きく異なる点がある。
キュレーションメディアを名乗る多くのサービスが、”キュレーター(実際にはアマチュア筆者)”が自発的に記事を投稿していると説明している。読者はキュレーターが選択し咀嚼(そしゃく)した情報を手早く知ることが可能で、記事そのものの法的責任は掲載サービス側には存在しないという建前だ。WELQに限らず、実際には執筆(複製)要領を示したマニュアルなどで他サイトからの盗用の手法を解説していたが、責任回避のために自発的投稿という形式を取っていたにすぎない。
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