不登校「負の連鎖」を引き起こす原因は明白だ

経済力がない家ほど、子だくさんとなる現実

「不登校」は、親に対する愛情を渇望してのことなのでしょうか(写真: Graphs / PIXTA)
「教育困難校」という言葉をご存じだろうか。さまざまな背景や問題を抱えた子どもが集まり、教育活動が成立しない高校のことだ。
大学受験は社会の関心を集めるものの、高校受験は、人生にとっての意味の大きさに反して、あまり注目されていない。しかし、この高校受験こそ、実は人生前半の最大の分岐点という意味を持つものである。
高校という学校段階は、子どものもつ学力や、家庭環境などの「格差」が改善される場ではなく、加速される場になってしまっているというのが現実だ。本連載では、「教育困難校」の実態について、現場での経験を踏まえ、お伝えしていく。

「教育困難校」の生徒たちは、親から愛情をいっぱいに受けて育ったような痕跡がない。親は日々の生活を成り立たせることに精いっぱいで、子に愛情を持って接する時間的余裕も精神的余裕もなかったのだろう。あるいは、親が異性関係やギャンブルなど、自身の欲望の実現に夢中で、子どもにはほとんど興味を持っていない場合もあるようだ。そんな家庭で育つ高校生たちは、親の愛情を渇望している。ありえないと思えるほどひどい親に対して、子どもは憎しみながらも、その反面、愛情を哀れなほど求めているのだ。

親の愛情を得られるチャンス?

子どもたちが親の愛情を得られるチャンスと考える行動の典型が、不登校である。不登校は、学校生活の中で生徒や教師の何かしらの行動によって、子どもの気持ちが傷つけられたことで起こると思われているかもしれない。しかし、実際は、「親の愛情を得たい」「ほとんど自分と向き合ってくれない親と接する時間を持ちたい」という気持ちからも生じていることが多い。

親の愛情不足から不登校になった典型的な例を、筆者の体験から紹介したい。

その家族は地方都市の新興住宅地に小さな一軒家を構えている。両親は共に40代初め、子どもは、今どき珍しい5人兄妹である。この5人が、親の愛情、接する時間を求めて現在も日々苦心している。彼らの父は、結婚当初は安定した職に就いており、30歳を前に長期の住宅ローンを組んで、現在の家を購入した。

しかし、まじめで融通が利かない性格からストレスをためるようになり、転職に追い込まれる。新しい職場にもなかなかなじめず、職場から帰宅後は職場での憂さ晴らしのために、寝るまでゲームに熱中するようになった。その頃、すでに3人の子どもがいたが、家事や育児はいっさい手伝わなかった。それだけでなく、自分の機嫌が悪いと子どものささいな行動を取り上げて、大声で怒鳴るようにもなった。

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