IT企業が人工知能の枠組みを提供するワケ

深層学習はビジネスをどう変えるか?

グーグルは物をつかむ(ピッキング)作業に深層学習を取り入れ、飛躍的な性能向上を実現した(写真はグーグルの公式ブログより)

ビジネスマンにとってもっとも興味が湧くのは、ディープラーニング、いわゆる深層学習によってビジネスがどう変わっていくか、また学生の読者の視点で言えば、どんな業界が伸びていくのか、今からできる準備はあるのか、ということでしょう。10月に発売した著書『よくわかる人工知能』では、まさにそうしたAIの先端研究とビジネス化の最新事情を取り扱いました。

2016年夏現在の深層学習技術とそれにまつわるビジネス構造は、まず、深層学習をすでにやっていると明言している企業群と、深層学習をこれからやっていくという意向を示している企業群に分かれます。

さらに、深層学習のためのハードウエアやソフトウエア、クラウドなどのプラットフォームを提供する企業群とウェブ企業など実サービスに深層学習を取り入れているという分類もあります。

こうして業界を俯瞰してみると、海外ではグーグル、マイクロソフト、フェイスブック、アマゾンがすでに深層学習をビジネスとして展開しつつあり、日本国内ではトヨタが自動運転で、ファナックは産業用ロボットの制御に深層学習を取り入れつつある動きが見えます。ウェブ系企業ではグーグルとフェイスブックはすでにサービスに深層学習の成果を取り入れており、ドワンゴも積極的にコメントの自動判別(好ましくないコメントを非表示にする機能など)に深層学習を導入するほか、オープンソースで深層学習に関するソフトウエアをいくつか公開しています。ヤフージャパンも音声認識に深層学習の成果を取り入れ、従来手法よりも正確な音声認識を実現したと発表しています。

ソニーも深層学習関連企業に出資

また、日本を代表するグローバル企業であるソニーも、深層学習関連の企業である米Cogitai社に資本参加したほか、ソニー不動産ではソニーの研究開発部門の深層学習技術をコアとした“不動産価格推定エンジン”を開発するなど積極的な動きを見せています。

もともとソニーはAIBOなど、機械学習技術を応用した製品を世界に先駆けて発売した会社で、日本の大企業としてはかなり早い段階から深層学習技術に着目していました。

金融系では、日本国内にはベンチャーのAlpacaDBが、NECキャピタルソリューションとSMBCベンチャーキャピタルなどから合計100万米ドル(約1億円)を調達し、深層学習を応用して株価予測などを行うトレーディング・プラットフォームを開発したり、Abejaは画像認識を用いた店内のマーケティング支援などをサービス化しています。

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