「お試し管理職」は組織の活性化に有効なのか 期間限定で管理職になれる制度の効能とは?

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立候補をすれば原則、誰でも管理職になれるという、ユニークな制度を始めた三和製作所3代目の千地克典社長

新入社員の時は、管理職にあこがれます。給料は上がるし、部下も持てます。名刺にも肩書がつきます。でも誰もが管理職になれるわけではありません。競争もあります。昇格試験にも受からなくてはなりません。何より、管理職にふさわしい実績を残す必要があります。

ところがここに「管理職になりたい!」と社長に意思表示すると、原則、誰でも管理職になれる会社があります。

希望すればお試し管理職

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旋盤などで切削加工に用いられるバイト(切削工具)を製造する大阪府貝塚市の三和製作所です。昭和6年創業、従業員40人の中小企業ですが、最先端と成熟という両極端の多品種少量バイトの製造を得意とし、国内トップシェアの製品も手がけています。日本政策金融公庫などの長期資金を活用して最先端設備も積極的に導入。約2000種類のバイトを製造する自社一貫体制を築きました。3カ月ごとに在庫を見直して適正在庫水準を維持する、健全経営の会社です。

それにしても、立候補をすれば管理職になれてしまうとは、驚きました。3代目の千地(ちぢ)克典社長に、立候補制度に踏み切ったきっかけを聞きしました。

社長面接の様子

「高齢化が進み、社員の半分が50歳以上という状況になりました。そうすると新人たちから、頑張っているのに努力が報われない、歳をとっているだけで給料が高いのはおかしい、といった不満が出てきました。それなら、やってみればいいじゃないか、ということで、14年前の2002年から立候補制度を始めたのです」

半年に一度の社長とのヒアリングで、社員がどの部署の管理職になりたいか、を表明します。原則、その希望を聞いて、半年間、お試しで管理職となります。部下も持ち、給与も半年間、管理職手当が支給されます。

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