カタログ通販から脱皮へ、アスクルが探る次のビジネスとは?

カタログ通販から脱皮へ、アスクルが探る次のビジネスとは?

オフィス用品通販大手のアスクルが、カタログ中心のビジネスモデルからの脱皮を急いでいる。文具大手プラスの事業部として1992年にスタートして以来、カタログ中心に成長してきたが、ライバルの参入等もあって競争が激化。こうしたなか、07年5月期から3年間で総額150億円もの先行投資をつぎ込み、新たな収益源開拓に取り組んでいる。

その中心となるのが、手袋や作業着などの作業用品から測定機器、構造部品まで、さまざまな間接材(消耗品)の取り扱いだ。アスクルの試算によると、こうした間接材の市場は15兆円と、現在主に扱う文房具や事務用品の約10倍の規模に上る。現状、間接消耗材をまとめて扱う業者はまれなだけに、アスクルにとっては大きな商機となる。

取り扱いアイテム数や顧客企業数の増加に伴って、自社サイトの強化などネットによる受注強化も急務となっている。今回3年間で150億円という投資の中身は新規商材取り扱いに向けた物流センターの新設のほか、ネットを使った企業向け一括購買のシステム増強など、インフラ整備が中心だ。

実は、アスクルのネットに対する取り組みはかなり遅れていた。一般企業のインターネット普及に合わせ、97年にネット受注を始めてはいたものの、購買サイトの更新はなんと年2回だけ。カタログ発刊に合わせた更新だった。商品もカタログと同じで、セールも実施しない、購買サイトはあくまでも脇役に過ぎなかったのだ。

そこで、06年からアスクルが取り組んだのがウェブサイトの活性化だ。「ヤフー」など検索サイトで上位にヒットされるようページを書き換えたほか、顧客アンケートのデータベースをもとに、自社サイトでの検索方法やカテゴリの分類、商品の説明など、細かな点も見直した。サイトの更新も頻繁に行い、ネット限定商品や年2回のアウトレットセールも実施するようになった。

さらに、利用者の目的にあわせてサイトも細分化した。広告や特集が掲載される一般向け購買サイトのほかに、企業向けの一括購買システム「アスクルアリーナ」や、昨年11月には個人向けサイトの「ぽちっとアスクル」も開設した。

こうした施策が功を奏し、ネット経由の受注件数も06年の270万件から年間100万件ペースで増加中。08年5月末には480万件に達した見込みだ。ネット受注率も06年の40%から前08年5月期末には54%にまで膨らんだ。

顧客の窓口をネットに移したことで、提供できるサービスも通販以外に広がった。3月にはオフィス雑務代行の「アスクルお仕事サポート」がスタート。飲食店情報サイトの「ホットペッパー」と提携し、宴会の店選びや予約を可能にしたほか、デリバリーの「出前館」とも提携し、弁当の手配からパソコンの修理サービスまでできるようにした。

今後も他社との提携を加速し、出張時のチケットやホテルの予約、祝電、弔電の手配など、サービスの範囲をさらに拡大するという。
 
 数年前まで弱点だったネット事業は、顧客を引き付ける強みに変わりつつある。09年5月の先行投資期間終了まであと1年。ネット事業を統括する内田洋輔執行役員は「カタログはこれ以上厚くできないが、ネットのサービスはまだまだ拡大していく」と意欲を見せている。
(田邉佳介 =東洋経済オンライン)

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