トランプ政権で「米軍の日本撤退論」は強まる

米国民にとっては「リアルな選択肢」だ!

南シナ海に展開し中国を牽制する米艦。このような「アジア重視」が終わる日が来るかもしれない(写真:ロイター/アフロ)
「アメリカ軍は日本や韓国から撤退すべき」と訴えてきたドナルド・トランプ氏が、次期アメリカ大統領に就任することが決定した。彼の主張を日本では奇抜な言動と受け止める向きが強いが、アメリカ国内では軍事支出の圧縮を望む声が圧倒的で、アジアからの完全撤退を唱える識者も多い。
尖閣近海や南シナ海における中国軍の威圧的な行動が、西太平洋地域における最大の懸念材料となっている中、自著『2050 近未来シミュレーション日本復活』で、早くから「アメリカ軍の日本完全撤退」「中国による尖閣占領」のリスクを指摘し、日本に対して警鐘を鳴らしてきたクライド・プレストウィッツ氏。ヒラリー・クリントン氏のアドバイザーを務めた経験もある氏が、アメリカ軍撤退の可能性と、日本がとるべき安全保障政策、防衛体制について論じた2016年7月の来日時のインタビューを、再構成のもと掲載する。

「米軍撤退」を支持する国民は多い

『2050 近未来シミュレーション日本復活』(上の書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

日本ではあまり情報が伝わってきませんが、アメリカ軍のアジア地域への展開に関して、国内には大きく言って2つの意見が存在しています。

ひとつは従来型の伝統的な考え方で、日本、韓国、フィリピンとの同盟を維持しながら、西太平洋はアメリカのコントロール下に置くというものです。当然、そのためにアメリカの軍事力も強化しなければなりません。中国に対しては南シナ海に防衛ラインを置くべきだと考えていて、南シナ海を中国が支配しようとすれば、断固これを叩くべきというものです。

もうひとつの考え方は、従来型の防衛政策とは異なるもので、西太平洋、とくに中国近海においてアメリカ軍の優位性を維持するのが困難になってきており、この先はもっと困難になっていくという見方をベースにするものです。現在、中国は猛烈な勢いで海軍力を増強し、対艦ミサイルなどの配備を強化しています。そのような中で、アメリカ軍がそれらを上回る軍事力、防衛力を維持しようとするならば、膨大なコストを負担しなければならなくなります。

加えて、彼らは、アメリカ本土から遠く離れた中国近海でアメリカ軍のプレゼンスを維持することが本当に必要なのか、と考えています。中国がアメリカ本土に攻撃を仕掛けてくると思うアメリカ人はほとんどいません。なのに、なぜアメリカ軍はそれほどまでして、西太平洋でプレゼンスを維持する必要があるのか、中国を挑発せずにもっとビジネスパートナーとしてうまくつき合っていけばよいではないかと考えるのです。

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