ついにトランプ氏が米国の次期大統領になる。9日の日経平均株価は前日比で919円もの暴落。一時は1ドル101円台まで円高ドル安が進み、株価も1000円以上下落した。
世論調査に基づいて、市場に都合のいい結果が出ることを前提に「先走り」、「はしごを外されて急落する」という展開は、EU離脱をめぐる6月の英国国民投票の時と同じ構図になってしまった。
「嫌われ者対決」となった史上最悪の米国大統領選挙が、大方の予想に反してトランプ氏勝利という「市場の期待」に反する結果となったことで、金融市場は波乱の展開となっている。
実は金融市場はトランプ大統領を拒否していない
しかし、「トランプ大旋風」は米国社会の中に政策的継続性を望まない勢力が増えて来ていることの表れであり、こうしたことは、すでに民主党の候補者選びの中で、クリントン候補を苦しめたサンダース候補の善戦にも表れていたはずだ。
こう考えると、政策的継続性を求めてクリントン大統領誕生を望んだ金融市場と、「社会が抱く期待」の間には、大きな乖離があった。この乖離は、たとえクリントン大統領が誕生していた場合であっても、遅かれ早かれ何かの形で何時か埋めなければならない運命にあったといえる。
9日の金融市場は、トランプ候補優勢という予想外の展開を受け、波乱の展開となった。しかしそれは、金融市場がトランプ大統領を拒否しているということではない。あくまで想定外だったということである。
どういうことか。「最低賃金を引き上げ、インフラや先端技術、再生エネルギーへの投資で1千万人の雇用を創出する」と主張するトランプ氏が大統領になるということは、金融政策偏重の景気対策から、財政政策を含めた伝統的な景気対策への転換を目指すことを意味する。これは米国経済にとって必ずしも悪いことではない。
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