プーチン大統領が自ら指導する極東経済特区

最前線で関わるJBIC前田副総裁に聞く

今年5月のソチでの首脳会談で、12月のプーチン大統領来日が決まった(写真:TASS/アフロ)
12月にロシアのプーチン大統領が来日することが決まり、戦後外交上の一大懸案であった北方領土問題の前進に向け、期待が高まっている。2島返還論や共同統治案など、さまざまな観測が浮上しているが、期待先行という印象も否めない。一方、原油価格の低迷や欧米諸国による対ロシア制裁の影響を受けてロシア経済は低迷を続けており、ロシア側では日本の経済協力に対する期待が高まっているのも事実だ。これまで極東・サハリン地域において石油・天然ガス開発プロジェクトに融資する形で携わってきた、国際協力銀行(JBIC)の前田匡史副総裁に、ロシア情勢と北方領土交渉の見通しについて尋ねた。

――今現在、ロシアとの関係を深める意義について、改めてではありますが、どのようにお考えでしょうか。

ウラジオストックで(9月に)開かれた東方経済フォーラムで安倍晋三首相も発言していたが、要するにロシアは広大なユーラシアという後背地を抱える一方、日本には自由で開かれた、法の支配に基づくアジア太平洋ががある。プーチン大統領は極東ロシアをそこへのゲートウェイにしたいという意識がある。極東の開発に非常に力を入れているという印象を私は持っている。

ロシア極東地域は、人口は20年間連続で減少し、まだ下げ止まっていない。20年間で人口は20%減っている。(同じアジアの大国である)中国との関係は、欧米からサンクション(制裁)を受けている中で、都合のよいパートナー(という位置づけ)だ。しかし、中国は同盟国ではなく、向こう(中国)のほうが圧倒的に人口も経済規模も大きいので、脅威に感じているところがある。(日本に接近することで、中国との)バランスをとりたいという意識をプーチン大統領は持っている。

プーチン大統領が直接、改革を指示

――ウラジオストックの会議では、どんな議論が交わされたのですか。

大きな会議だけでなく、プーチン大統領と極東関係の主要閣僚が集まり、非常に少人数の会議もあり、私も出席した。極東(ロシア)には12の経済特区があるが、進出している企業はほぼロシア企業だけ。つまり、外国(企業)からの直接投資がない。これらは中国の深センなどの経済特区をコピーしたものなのだが、どうして進出企業が少ないかというと、たとえば法律はあるが、運用が恣意的だとか、(手続きに)時間がかかって分かりにくい、不透明だとかの問題点がある。ロシア企業からもそういう声が出ていて、それに対してプーチン大統領がああしろ、こうしろと個別に指示している。これが大きい。

JBICはインドやミャンマーの経済特区で特別目的会社をつくり、個別の投資、運営やアドバイザリーを務めてきた経験がある。これらと同じように、(極東ロシアの)12の経済特区を対象に、当行とロシア極東発展省の「極東発展基金」が共同出資で特別目的会社をつくり、ワンストップの機関をつくってはどうかと提案した。プーチン大統領にはこれを大変高く評価していただいている。

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