スプツニ子!的、「盛大な失敗」のススメ 新世代リーダー スプツニ子! アーティスト 

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異分野のものをつなげる

もう1つのアプローチは、異分野のものをクロスオーバーさせて、つなげることだ。たとえば「スポーツ」「アート」「エンターテインメント」といった領域で閉ざすのではなく、価値観やバックグラウンドが異なる人が越境してつながれば、相互に学んだり吸収できたりすることがあり、それだけ新しいものが生まれやすくなる。私が親しくさせていただいているMITメディアラボの所長、伊藤穰一氏の活動を見ても、その方向性に間違いはないと思う。

  《カラスボット☆ジェニー》(2011年)(c)Sputniko!

《カラスボット☆ジェニー》をつくるときには、鳥類の研究者と話し合って作品をつくった。アートの世界とサイエンスの世界は一見縁遠いように思えるが、そこをつなげたのだ。

渡り鳥は人間のいないところに飛来する。だから北朝鮮と韓国の軍事境界線のように、紛争で人が入れないところが動物の楽園になる。そこにロマンを感じる。研究者たちから、そんな話を聞くことができた。

本やインターネットを見ているだけでは得られないものを、異分野に飛び込むことで得られたのである。その交流が、具体的に作品のどの部分に影響しているかというのは言い表すことができないが、大きく影響を受けていることは確かである。人間一人では、生まれてくるアイディアや発想に限りがある。どんどん外に出て行って、見知らぬ人たちと話したほうが絶対に面白いものができる。

2012年の12月には東京都足立区で「ADACHI HIPHOP PROJECT」を行った。町おこしのアートイベントのプロデュースを頼まれたのだが、このときは、足立区の地元のラッパーと、お嬢さん、お坊ちゃん育ちの美大生をつなげてみた。

地元のラッパーにラップで地元をガイドしてもらうバスツアーであり、おとなしい美大生が乗客で、区内を1時間かけて回った。このように接点がなさそうな人たちをクラッシュさせると、お互いに気づきや発見がある。こうした仕掛けや装置をつくり、彼らに考えるきっかけを提供して新しい発見を促すことができれば、このバスツアーも立派なアートだと思う。

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