梅佳代にしか撮れない、愛すべき日常 奇才アラーキーも認めた才能

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一日中カメラを離さないという写真家、梅佳代の展覧会が、初台の東京オペラシティ アートギャラリーで開かれている。

ストリートスナップから家族の写真まで、日常のふとした瞬間をすかさずカメラに収めた作品は、笑いもあれば、しんみりするものもある。普通は通り過ぎてしまう場面を、梅佳代の目が振り返らせてくれる。代表作に未発表作を加えた約570点が壁面を飾り、これまでの活動の全貌を見ることができる。

全力で悪ふざけする小学生

「いたいた、こういう男子」と、つぶやきたくなるこの写真は、石川県の能登出身の梅佳代が大阪の写真専門学校に通っていたときに撮影したもの。

『男子』より 2000-2002 © KAYO UME
どうしようもない行動をとる男子たち。笑いの都、大阪の空気も感じられる

「ウメさんは、彼らにケリを入れられたり、ビワを投げつけられたりしながら、めげずに撮っている。男の子たちの、見てもらいたい、撮ってもらいたいという微妙な心理もちゃんと写っている」と、シニア・キュレーターの福士理さんは言う。

一見、誰にでも撮れる写真のように思えるが、被写体との微妙な関係の上に成り立っていると福士さんは見る。

「愛情と共感がありながら、どこか冷めた観察眼がある。当事者でなければわからない皮膚感覚まで撮ってしまう。ウメさんでなければ撮れない写真」。

このシリーズは今から10年以上前に撮影された。小学生の男の子にしてみれば、まだ10代だった梅佳代は、大人というよりお姉ちゃんのような存在。本人も「今の自分には撮れない」と話しているそうだ。

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