介護の世界から返り咲いた鬼才プロゲーマー 新世代リーダー プロゲーマー ウメハラダイゴ
人は夢をあきらめて大人になる。白球を夢中で追い掛けた少年は、プロ野球選手への夢を。ある者はサッカー選手になって活躍する夢を。
そんな者の中から、がむしゃらに夢を追い続け、厳しい淘汰を生き残った者だけが「一流」の栄冠を手にすることができる。
ここに「ゲーム」の道を選んだ少年がいた。1980年代後半、ファミコンブームが徐々に終焉を迎え始めたときのことだった。ウメハラダイゴ。後に「神の手」と呼ばれるプロ格闘ゲームプレーヤーの目覚めの瞬間だった。
世に「プロゲーマー」と呼ばれる人種は少ない。その第1号プレーヤーがウメハラだ。その名のとおり、「プロ」のゲーマーである。仕事は単純。とにかくプロとして「勝ち続ける」ことが至上命題だ。
ウメハラの歩んできた経歴はド派手だ。戦った試合の数は30万試合以上。弱冠15歳で国内を制覇し、17歳で世界一に輝く。2010年、「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」としてギネスワールドレコードにも認定され、2013年5月にはプロゲーマーとしては初めて、ニューヨーク大学での講演も果たす――。世界中の格闘ゲーマーをして「最強」と言わしめるのがウメハラだ。だが、その輝かしいゲーマー人生は平坦なものではない。一時は引退し、麻雀の道へ。その後、勝負事とは無縁の介護の道に入ったこともあった。2010年、再びゲーム界に舞い戻り、今もなお、最前線で戦い続けるウメハラに話を聞いた。