ワタミ「脱ブラック宣言」の知られざる裏側

やっとできた労組、そのトップの意外な経歴

外食既存店売上高はようやく底を打った(撮影:今井 康一)

「一連のブラック企業批判に対してその理由と要因にしっかり向き合い、アイデンティティーを聖域なく見直しました」

これは外食大手ワタミが今年6月、朝日新聞朝刊に出した全面広告の文言だ。広告は5月に刷新したコーポレート・アイデンティティをアピールする目的で、冒頭の言葉は「ワタミは変わります」というメインコピーやハートをモチーフにした新しい企業ロゴなどとともに掲載されていた。

新入社員の過労自殺事件でブランドイメージ失墜

ワタミへのブラック企業批判は、2008年に新入社員だった森美菜さんが過労自殺した事件がきっかけ。森さんの死は2012年に労災認定されたが、創業者である渡邉美樹氏の事件に対する言動が要因となって、企業イメージは大きく毀損した。「和民」「わたみん家」といった居酒屋の既存店で急激な客離れが起き、採用面でも2014年春入社の新卒社員が計画の半分にとどまるなどした。当然ながら業績は悪化し、2015年12月には収益源の介護事業を売却して急場をしのいでいる。

大量の店舗閉店(2014年度100店、2015年度72店)に加え、現在は「和民」などの店舗を、「ミライザカ」「三代目 鳥メロ」といったワタミを冠しない名称の店舗に改めるなどテコ入れを図り、2016年度上期(4~9月)は既存店売上高が1.8%増と復調の兆しを見せている。だが、そもそもの問題だったブラック企業という社会的評価を返上するには、従業員の勤務体制や雇用条件の改善が不可欠だ。その中で、今年1月に初めて労働組合が発足した。

「ワタミはブラック企業として厳しい批判を受けてきた。根本から会社の体質を変え、二度と同じようなことを起こさないためには、従業員自身の意識改革が必要と感じ組合を立ち上げた」。

9月上旬に横浜市で開かれた、国内最大の産業別労働組合・UAゼンセンの定期大会。今年新たにUAゼンセンに加盟した企業別組合を代表し、ワタミ労組である「ワタミメンバーズアライアンス」の亀本伸彦委員長はこう抱負を語った。ワタミ労組は従業員に加入を義務づけるユニオンショップ制で、正社員だけでなくアルバイト・パートを含む1万3181人(発足時点)が組合員。この巨大労組を率いる亀本委員長は、意外な経歴であることが本誌の取材で明らかになった。

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