総裁任期延長で変わる「ポスト安倍」の構図

「石田聖美」は目算が狂い弱体化も

選挙で圧勝を続ける安倍首相の1強体制はもはや揺るがず。写真は今年7月11日の参院選後の記者会見(撮影:尾形文繁)

自民党総裁の任期が延長される。同党政治制度改革実行本部(本部長=高村正彦副総裁)が10月19日の役員会で現行の「連続2期6年」を見直すことを決めたからだ。「連続3期9年」とする方向で、来年3月5日の定期党大会で党則を改正する段取りだ。

自民党政権下では、時の首相に政治的な余力や人気があっても、党総裁としての任期が切れれば自動的に退陣を余儀なくされる。他の先進国にはみられない日本独特のルールで、国際外交の場での各国首脳との個人的信頼関係構築への"障害"ともされてきた。

今回の決定により、安倍晋三首相は2018年9月の党総裁選で3選を果たせば2021年9月まで首相の椅子に座り続けることも可能だ。そうなれば、第1次政権も含めた首相在任期間は3500日を超える憲政史上最長となり、「明治以来の"最長・最強の宰相"の称号も手にする」(首相側近)ことになる。その一方で、石破茂前地方創生相、岸田文雄外相らによる「ポスト安倍」の構図も変わる。

これまでの自民党総裁の在任期間をみると、最長は佐藤栄作氏の7年8か月で、これに次ぐ長期政権だった小泉純一郎氏が5年5か月だ。首相は2018年9月の任期満了時には7年となる。歴代総裁と比較しても「十分過ぎる在任期間」(首相経験者)だ。にもかかわらず、「任期延長」論が浮上したのは首相が総裁再登板以来、衆参各2回の国政選挙をすべて圧勝して過去に例のない「1強体制」を築いたからだ。しかも、まだ62歳で、首相再登板後は一貫して5割前後の高い内閣支持率を維持している。

剛腕・二階氏が異論封じ込め

そうした状況を踏まえて総裁任期延長を仕掛けたのが、二階俊博幹事長だった。参院選後の党・内閣改造人事(8月3日)で、首相が選んだのが二階氏。首相が「百戦錬磨。自民党で最も政治的技術を持った方」と持ち上げる二階氏は、剛腕で知られる当選11回、77歳の実力者だ。

就任会見でいきなり「早急に任期延長を検討する」と発言し、すぐさま検討機関として政治制度改革実行本部の設置を決め、高村副総裁を本部長として党内全派閥や無派閥から役員を選ぶことで「全党的」な体裁も整えた。当初、ポスト安倍の有力候補とされる石破、岸田両氏は「時期尚早」と不快感を隠さなかったが、9月20日の初会合で高村本部長が私案として提示した「3期9年」についての反対論は出なかった。

このため党内では「任期延長」が既定事実化し、10月19日の第3回会合はわずか30分で決着した。検討を始めてわずか1カ月足らずでの結論に、党内からは「異論を挟めば首相や幹事長ににらまれる」(岸田派幹部)との声がもれてくる。安倍1強に伴う「物言えば唇寒しの風潮」(自民長老)が、二階氏らによる"異論封じ込め作戦"の成功につながったのだ。

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