蓮舫民進党、船出から渦巻く不平不満の惨状 執行部人事は党内融和とは程遠いものに
9月16日の野田佳彦幹事長就任から5日遅れた9月21日、その他の執行部のメンバーが発表され、民進党の蓮舫体制がスタートした。しかし、その選定過程と人事は問題だらけ。党内にさまざまなハレーションを生んでいる。
「今日は気分も新たに、色付きのジャケットを着てみました」。午後1時に始まった両院議員総会で挨拶した通り、蓮舫氏がこの日に着用したのは、ふんわりと薄いサーモンピンクのステンカラーのジャケットだった。あるいは自分の名前にちなんで、薄い蓮の色として選んだものだったのかもしれない。さらに党内円満を願ってのことなのか、ジャケットの身頃には丸状の模様が付いていた。いずれにしろ、新代表として党の融和をアピールする意気込みが感じられた。
しかし執行部人事を見ると、融和とはほど遠いものに思える。野田幹事長を初めとして、安住淳、細野豪志、江田憲司の3氏の代表代行や大串博志政調会長など、重要ポストはおしなべて身内で固められた。山井和則国対委員長の人事は前原選対からの抜擢で、第3次安倍第2次改造内閣で水月会(石破派)から山本有二農水相が1本釣りされた例に重なって見える。すなわち京都6区選出で凌雲会(前原派)メンバーの山井氏を取り込むことで、前原誠司元外相(京都2区)を牽制するという魂胆だろう。
両院議員総会は委任状なしの欠席が11名
当然のことながら党内の執行部への不満は大きく、それは21日の両院議員総会でも明らかになった。この時の出席者数は総会開始時段階で衆院議員39名と参院議員25名の計64名と、16日に開かれた両院議員総会(衆院議員55名、参院議員21名が出席)より12名も少ない。しかもそれだけでは定足数である党所属の国会議員総数の147名の過半数を満たさず、委任状(72名分)がなければ両院議員総会自体が成立しないという危ういものだった。そして欠席者で委任状を出さなかった11名の中に、なんと赤松広隆元農水相が含まれていたのである。
旧社会党系のサンクチュアリを率いる赤松氏は、代表選でいち早く蓮舫氏への支持を表明した。いわば蓮舫代表の誕生に大きく寄与した存在だ。赤松氏が蓮舫氏を支持した理由については、リベラルな考えが似ていたからと一般的に報じられているが、「蓮舫氏なら安易に操れると踏んだのではないか」とも言われていた。
ところが新代表に就任したとたん、蓮舫氏は赤松氏の期待をいともたやすく裏切ってしまう。赤松氏は新執行部人事について、かねてから枝野幸男前幹事長の留任を希望していた。枝野氏には事前に「打診が来たら、断るな」と念を押した。念のために赤松氏は15日の夜に蓮舫氏に電話をかけ、幹事長人事について尋ねている。この時、蓮舫氏は「考えます」とだけ返答したが、すでに「野田幹事長」を決意しており、枝野氏に打診することはなかった。
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