総裁任期延長で変わる「ポスト安倍」の構図 「石田聖美」は目算が狂い弱体化も

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ただ、「3期9年」に党則が改正されても、首相の総裁3選が確定したわけではない。"政権の命綱"とされるアベノミクスの前途も不安だらけだ。首相は「まだ道半ば」と繰り返すが、「18年になっても結果が出なければ、国民も『失敗』の烙印を押す」(経済専門家)との見方が広がる。

首相が強い意欲を示す北方領土問題の解決も、12月中旬の日ロ首脳会談が思惑通りの展開となる保証はない。しかも、その「結果」を大義名分に年明け解散を断行したとしても、現状の「与党で3分の2の勢力」を維持することは簡単ではない。

解散は「年明け」と「2018年前半」の2択に

総裁3選へのカギはやはり解散のタイミングだ。今後の政治日程などから、解散時期の選択肢はほぼ2つに絞られる。「年明け」か2018年春以降の「任期切れ前」だ。2017年夏の東京都議選に重なる衆院選には公明党が強く反対しており、2017年5月に予定される衆院定数10削減のための選挙区画定審議会(区割り審=首相の諮問機関)の勧告を受けての関連法案処理と成立後の周知期間も考慮すれば、来年春から年末までの解散は難しいからだ。

もし、首相が年明け解散に打って出て圧勝すれば、次の衆院議員の任期満了は2021年2月となる。そうなれば「総裁3選も確実で、2020年夏の東京五輪も首相として迎えられる上、政権のレガシー(遺産)づくりにも十分な時間的余裕ができる」(自民幹部)が、逆に大きく議席を減らせば"1強"態勢が揺らぎ、党内の反安倍勢力も勢いづく。

一方、2018年春以降では任期を目前にした「追い込まれ解散」ともなりかねない。ただ、2018年春までに「憲法改正発議」にこぎ着ければ、任期直前の2018年夏に衆院選と憲法改正のための国民投票の「ダブル選」が可能となり、「どちらも過半数が得られれば総裁3選に結びつく」(首相周辺)との見方もある。

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