カシオ「Gショック」が迎えた“第2次ブーム" 97年の販売ピーク超えが目前に

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

キモはブランド戦略にある。

「ショック・ザ・ワールド」――。カシオは08年ごろから世界各地で大規模なプロモーションイベントを展開している。欧米の主要都市に加え、中国・上海、ブラジル・リオデジャネイロなど、経済成長著しい地域へも積極果敢だ。「伝統ではなく、進化」「匠・逸品ではなく、若さ・かっこよさ」。訴えているのはカシオの理念である。米国ニューヨークには旗艦店を出すほか、宣伝の工夫にも余念がない。

これらのブランド戦略が奏功して、新興国でも主な購買層である10~20代の若者の支持を集めているのが、“第2次ブーム”の大きな流れだ。実は、08年のリーマンショック後、それまで好況を謳歌していた高級腕時計メーカーの販売は一時的に落ち込んだ。ところが、Gショックはピークからは下がっていたものの、その逆風下で出荷台数を伸ばし続けた。

タイのメイン工場が生産ピークへ

そのGショックのメイン生産基地、タイ・ナコンラチャシマ洲のコラート工場は過去最高出荷に向けて、活況を迎えつつある。

タイのコラート工場

カシオは11年10月に起きた大洪水で、バンコク近郊にあるナワナコン工場が浸水被害で操業停止に追い込まれた。それを受けて、新たに立ち上げたのが海抜200メートルにあり洪水の心配のないコラート工場。12年3月より操業を開始している。

コラート工場は、「ケースやバンドなどの射出成形工程をクリーンルームで行うことなどで歩留まりを高めている」(タイ工場の責任者である狩佐須完夫・カシオタイランド社長)。足元の月産は50万個強と旧工場時代の8割程度まで立ち上がっており、9月には被災前の水準に戻す計画。現状の設備で月産70万個、敷地としては月産100万個の生産キャパシティがあり、今後の出荷台数増にも十分対応できるという。

次ページカシオの業績への貢献は?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事