超至福!京急「ビール電車」の大盤振る舞い キリンが電車内で宴を開いたワケ

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生麦駅で積み込まれた生ビールの樽

「ビール電車、ずっとやってみたかったんです」と、キリンビール横浜工場の総務広報担当、籠倉啓子さんはいう。「神奈川県内ではビール電車を見たことがない気がして」。1年ほど前、工場90周年記念イベントで何かできないかと考えていた籠倉さんが、たまたま別件で京急電鉄とやりとりをした際に「ビール電車ができないだろうか」との相談を京急側に持ちかけたのが、今回のビール電車実現のきっかけだったという。

京急側も「われわれもビール列車はずっとやりたかったんです」(総務部広報課・木村めぐみ課長補佐)。京急とキリンビールの縁は深く、かつては工場の近くに「キリンビール前駅」も存在したという。90周年を機に沿線を盛り上げようということで両者の意見が一致し、約1年をかけて実現にこぎつけた。

生ビールの樽を生麦駅から積み込んだのは「ここでビールを造っているぞ、というPRを込めた演出」(籠倉さん)。同駅から工場長や醸造長らが乗り込んだのも「せっかくやるなら、ただのビール電車ではつまらない」という工夫からだ。今回はプラスチックのカップに入れたビールを配る形だったが、野球場などで見られるような、背負う形のビールサーバーで生ビールを注いで回るというアイディアもあったという。

通勤電車で飲む「非日常」

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車内でビールを片手に乗客と歓談する工場長

今回の参加代金は1人3000円。車内で振る舞われたビールは「一番絞り」のほか、横浜工場オリジナルの「横浜ピルスナー」。横浜名物の「シウマイ」で知られる崎陽軒のオリジナル弁当も配られ、通勤電車の車内はすっかりビアホールのようだ。

中には自ら異なる味のシウマイを持ち込み、弁当と食べ比べをするなど、おつまみを持ち込んで楽しむ人も。品川にある職場の仲間4人で参加したという女性は、3杯目のビールを飲みながら「こういう(ロングシートの)電車の中でビールを飲むのは初めてです」「ホームを見ているとなんだか優越感ありますね」と、やや赤くなった顔で微笑む。

賑やかな車内には、乗客の歓声だけでなく名調子のアナウンスも響いた。かつて京急の観光バスでガイドを務めたという伊沢喜三江さんによる案内放送だ。「数十年ぶり」というガイドに挑戦したのは、広報課の上司から「せっかくならビール電車でやってみないか」と声をかけられたのがきっかけという。「もっとシーンとしているのかと思っていたんですけど、乗ったとたんに大盛り上がりで(笑)」。アドリブを交えながらの放送は、車内に笑いを巻き起こしていた。

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