豊洲問題、ゼネコンの受注にも"疑義"がある 小池都知事に突き付けられるもう1つの難題

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そもそも第1回の入札は、青果棟や水産仲卸売場棟、水産卸売場棟の主要3棟において、計約628億円の予定価格で実施された。各棟の土壌汚染対策工事を担当した鹿島、清水建設、大成建設などの3JVが参加するはずだったが、結局辞退。入札は不調に終わった。

ここでおかしなことが起こる。翌日に都は、3JVに個別で「ヒアリング」を実施。確認したのは、(1)入札を辞退した理由、(2)発注者に対する意見・要望、(3)再入札をする場合に参加するかどうか、の3点だった。ゼネコン側は、人件費の高騰や資機材の不足、工期の短さなどを辞退の理由に挙げて、価格などの条件次第で、再入札に参加する意思を示したという。

そして約3カ月後。都は予定価格を3棟で407億円引き上げ、計約1035億円で再入札を実施した。事前公表された予定価格に対し、3JVがそれぞれ、99.7~99.9%の落札率で落札した。

だが都もゼネコンも事前の受注調整をそろって否定。「個別の案件の説明は控える」(鹿島)、「受注価格を結託して決めたような事実はない」(清水)、「適正な手続きを経て受注している」(大成)。

人件費や資材費の高騰を理由に

確かに入札が行われた2013~2014年は、東日本大震災の復旧・復興工事が本格化していた時期に当たる。自民党政権の復活に伴う公共工事の増加、2020年の東京五輪の開催決定も重なったため、ゼネコンは採算のいい案件に絞り受注する方針に転じていた。

第1回の入札をゼネコンが辞退したのも、都の予定価格が建設コストに見合わなかった点が大きい。予定価格の積算は、公共工事の発注で特に重要な作業だ。都も入札時点での実勢価格を適切に反映できなければ、不調・不落につながるリスクが高くなる。

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