築地移転、延期騒動の陰に隠れた本当の問題

相次ぐ水産業者の廃業、補償にも課題あり

大きく掲げられた「11月7日豊洲市場開場!」が鶴の一声でふいになった(8月26日撮影:尾形文繁)

「一度決めたことだから、もう造ってしまったのだから、既定路線だから、何も考えなくてよいという考え方はとりません」

8月31日。東京都の小池百合子知事は、今年11月7日に予定されていた築地市場(中央区)の豊洲新市場(江東区)への移転延期を決めた理由について、そう述べた。

小池知事は、予定どおり移転する場合の問題点として、(1)豊洲新市場の安全性への懸念、(2)新市場移転にかかる巨額かつ不透明な費用の増加、(3)情報公開の不足、の三つを列挙。「都民ファースト」に基づき、都民の利益を第一に考えた結果であることを、ことさら強調した。

築地も老朽化が問題に

日本一の魚河岸である東京・築地市場の開場は戦前の1935年にまでさかのぼる。もともとは鉄道貨車を利用することを前提とした造りのため、トラック輸送が主流の現代に合わなくなり、建物の老朽化も進んでいた。

そのため、1988年から再整備に向けた準備が始まったが、工期遅れなど問題が発生。本格工事が始まる前の整備費だけで400億円を費やした揚げ句、いったん中止に追い込まれた。その後、築地市場の再整備を断念し、移転先を豊洲地区に決定。土壌汚染対策を施したうえで、2016年11月に移転することは約2年前に決まっていた。

築地市場関係者の間では、一部反対の声はあったものの、「移転は既定路線」として準備に余念がなかった。特に築地を拠点とする水産卸大手は、これまで都の方針どおりに動いてきた経緯がある。それが一転はしごを外された今となっては「今後どれだけの影響が出てくるかわからない」と各社とも不安を抱えている。

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