漂流するルネサス、成長戦略は棚上げ

「猫の目」のトップ人事、オムロンの作田会長がCEOに

ルネサスが売却に動いている鶴岡工場(山形県鶴岡市)
 

経営再建中のルネサスエレクトロニクスは5月9日、会長兼CEOにオムロンの作田久男会長(68)を選任するトップ人事を発表した。6月の株主総会後に就任する予定。2月22日に就任したばかりの鶴丸哲哉社長(58)は社長兼COOとして続投するが、実質的な経営の最終権限は作田氏が握ることになる。

大株主出身者、しがらみを断ち切れず

これまでルネサスのトップは、大株主の日立製作所やNEC出身者が選ばれてきた。赤尾泰前社長や鶴丸社長はいずれも日立出身者だが、社内をよく知る一方で、しがらみを断ち切れずに改革のスピードが遅れていることが問題視されてきた。

くるくる変わる。外から見れば、まるで「猫の目」のようなトップ人事が、ルネサスの迷走を象徴している。昨年12月に官製ファンドの産業革新機構がルネサスへの出資を決めた時、すでにトップ人事は懸案事項だった。「大胆な改革をするには、外部からトップを選ぶ必要がある」(革新機構幹部)と、経済産業省と一緒になって人選を続けてきた経緯がある。複数挙げられた候者者の中には、元ソニーの吉岡浩副社長ほか、外国人のCEO経験者などが複数挙がっていたようだが、結果として白羽の矢が立ったのはベテラン経営者となった。

ルネサスの会長兼CEOに内定したオムロンの作田久男会長(撮影は2006年)

作田氏はオムロンで幅広い事業に携わり、経営戦略室長などを経て2003年に社長に就任。12年から同社の会長を務めていたが、6月20日に開催するオムロンの株主総会後に退任予定となっている。ルネサスの鶴丸社長は「作田氏は経営者として非常に高い力量と経験を持っている。大きな勇気をもらったと考えている」と期待を寄せるが、役割分担については明らかにしなかった。

同日、ルネサスは最終赤字が1675億円(前期は626億円の最終赤字)と大きく膨らんだ前年度(13年3月期)決算も発表したが、今年度(14年3月期)の業績予想については開示しなかった。革新機構からの増資完了後に発表するとの説明だが、ルネサスが革新機構から1383億円、トヨタ自動車や日産自動車、パナソニックなど主要取引先8社から計117億円の出資を受ける期限は9月末。増資の時期は明確には決まっていない。最悪の場合、9月末までルネサスの業績予想は非開示のままになる可能性もある。

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