パナソニック、プラズマ撤退の「必然」 6000億円投資が水泡に

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パナソニックが巨費を投じて建設した尼崎のプラズマ第3工場

撤退は「必然」の流れだった。

今年1月に米国・ラスベガスで開催された世界最大の家電見本市「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」。つい数年前までパナソニックブースの前面に打ち出されていたプラズマテレビが、今年はいちばん端の一角にたたずむのみだった。「皆さんの興味は有機EL(テレビ)一辺倒です」。展示コーナーにいたパナソニック関係者は、寂しげにつぶやいた。

それから2カ月後。パナソニックは2014年度をメドに、プラズマテレビから撤退する方針を正式に固めた。3月28日に発表する中期経営計画に盛り込む。

韓国勢の後塵を拝する

昨年6月に津賀一宏社長が就任して以降、パナソニックのテレビ事業はその進退が取りざたされてきた。世界シェアトップを誇る韓国サムスン電子などの攻勢を受けて、パナソニックのみならずソニーやシャープといった日本の家電メーカーは、テレビ事業で苦戦を強いられている。「日本でこそサムスンのテレビは見かけないが、海外へ行けばいたるところで(韓国)サムスン(電子)、LG(電子)のロゴを見る。パナソニックブランドは通用しづらい」(業界関係者)。

パナソニックの場合、液晶のみならずプラズマにも手を出したことが重荷となっていた。当時の中村邦夫社長が、プラズマへの巨額投資を決断したのは03年のことである。中村氏から06年にバトンを受けた大坪文雄社長(=当時)もプラズマ拡大路線を引き継いだ。尼崎の3工場などへ投じた総額は6000億円超に上る。

中村氏がプラズマへの投資を決断した03年当時、「プラズマは液晶よりも明るく、視認性に優れている」という、一種の“プラズマ信仰”があったのは事実である。一方で、「00年代前半時点で、プラズマではなく液晶に軍配が上がるであろうことは明らかだった」。ディスプレーの技術に詳しい業界関係者は打ち明ける。

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