マカヒキ14着、日本は凱旋門賞にこだわるな 世界の競馬の流れは刻々と変わりつつある

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凱旋門賞でマカヒキは14着に惨敗。これからも挑戦は大事。だが世界の流れは変わっており日本馬は凱旋門賞だけにこだわるべきではない(写真:共同通信)

1969年のスピードシンボリの初挑戦から47年で延べ20頭目の挑戦。しかし、日本競馬界の悲願達成は今年もお預けとなった。

凱旋門賞は特別な存在だが、最強馬決定戦ではない

フランスのGⅠ第95回凱旋門賞(2400m芝)は10月2日(日本時間2日午後11時5分)、シャンティイ競馬場で16頭が出走して行われ、日本から参戦したクリストフ・ルメール騎手騎乗のダービー馬マカヒキ(牡3、栗東・友道)が好位に付けたが直線伸びを欠いて14着に惨敗した。

勝ったのは日本でも競馬ファンならおなじみのライアン・ムーア騎手が騎乗したファウンド(4歳牝馬、3番人気)。直線鮮やかに抜け出す2分23秒61のコースレコードでGⅠ3勝目を挙げた。2着はハイランドリール、3着はオーダーオブセントジョージ。アイルランドの名門エイダン・オブライエン厩舎が上位3頭独占という歴史的快挙を達成した。

過去、凱旋門賞で日本馬は2着が4回とあと一歩に泣いていた。2006年に期待を一身に集めて挑んだディープインパクトは3位入線後に失格。マカヒキの鞍上にはディープインパクトと同じ勝負服のルメールの姿があった。父の無念を晴らすために奮闘したマカヒキ。しかし、またしても欧州の厚い壁に跳ね返された。今回の凱旋門賞は国内初の海外馬券発売レースで、海外で走る日本馬の馬券を買って応援したいというファンの願いが実現した舞台。期待が大きかったからこそ、惨敗は衝撃的だった。いつもよりスタートから積極的に行ったために折り合いを欠いたのが敗因だったようだ。

日本の競馬関係者にとって凱旋門賞は特別なものだった。1999年に4頭目の挑戦だったエルコンドルパサーがモンジューとのマッチレースで2着に惜敗。スピードシンボリの挑戦から30年を経て頂点に立つ日は近いと思われた。

ところが、2006年ディープインパクトは3位入線後に失格。2010年ナカヤマフェスタは大健闘の2着だったが、期待を集めた2012年のオルフェーヴルは直線もたれたのが響いて2着。2013年は再び挑んだオルフェーヴルが2着、今回と同じようにニエル賞を勝って臨んだ同年のダービー馬キズナが4着だった。

2014年は3歳牝馬ハープスターが6着、同年の世界ランク1位に輝いたジャスタウェイは8着、ゴールドシップは14着。エルコンドルパサー以降は毎年のように国内の実力馬が挑むものの、敗れ続けた歴史があった。凱旋門賞の歴史で欧州調教馬以外が勝ったことはない。今回も欧州調教馬以外の参戦はマカヒキだけ。米国勢も香港勢もドバイ勢も参戦すらしていない。

欧州の競馬も日本同様にスピード化している。実は、最強馬決定戦は2000mのチャンピオンSに舞台が移りつつある。マイルには近年、フランケルという無敗の怪物も現れた。2400mの凱旋門賞は「欧州最高峰」という枕ことばではくくれないレースになっている。

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