「歌舞伎座」新開場に沸く松竹、業績上振れへ 4月チケットほぼ完売、5月も順調

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引き続き人気役者が揃い、「三人吉三」「伽羅先代萩」「二人道成寺」など、3部7演目を予定する5月分もチケット販売は順調で、通常時の団体割引などの割引率を抑えた販売を維持している。

歌舞伎座が改修中に東京での歌舞伎興行を担ってきた、新橋演舞場やその他劇場が、“歌舞伎座景気”のあおりを受け苦戦を余儀なくされることを織り込んでも、演劇事業が今期の収益を牽引する。

歌舞伎の好調で不動産、映画興行の減益をカバー

一方、不動産事業では隣接する銀座地区で、最大規模の新オフィスビル「歌舞伎座タワー」(23賃貸フロア、歌舞伎座の高層部分)が2月末に竣工。今期は新たな家賃収入が上乗せになる。入居はすでに7割方確定し、残りの賃貸先の選別が続いている。今夏のフル稼働を目指しているが、それまでの未収入期間と償却負担がのしかかるため、不動産部門は売り上げ増でも営業利益ベースでは減少する。

また、映像関連は前期に邦画当たり年で好伸して収益を牽引した興行が今期は反動減が予想され、部門利益も連動して落ちる公算だ。

とはいえ、歌舞伎興行の好調がこれらを吸収することは確実。松竹の今期は、会社計画を上回る大幅増益となりそうだ。
 

中村 陽子 東洋経済 記者

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なかむら ようこ / Yoko Nakamura

『週刊東洋経済』編集部記者

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