水面下で広がる就活「学歴フィルター」の実態 大量応募への対処に大企業の半数以上が設定

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さらにセミナーや会社説明会の受け付けでも学歴フィルターを行っている実態がある。セミナーや会社説明会の参加申し込みはWEB画面で受け付けるのが一般的だ。就職ナビや企業の採用ホームページからプレエントリーをすると、後日、企業からセミナー(会社説明会)の開催案内と参加受付がスタートした旨のメールが届く。

たとえばA君はメールが届いてすぐに参加受付画面にアクセスしても「満席」となっているのに対して、別の大学に通うB君は翌日になってアクセスしたにも関わらず、楽々申し込みができたということが起こっている。それは、その企業にとって、A君の大学は「学歴フィルター外」、B君の大学は「学歴フィルター内」の大学だったことを表す。

A君とB君に案内された申し込み画面は別々のものなので、A君が見たWEB画面は、10人も申し込めば「満席」になるように設定されているのに対して、B君が見た画面は300人でも申し込みが可能なように設定されている。中には案内する画面自体は共通だが、案内するタイミングに差がつけられているケースもある。B君には先に案内メールを出して、2日ほどしてA君に案内メールを出すといった具合である。

「絞り込む」だけが目的ではない

ちなみに、メールは1人ひとりに個別に出しているわけではなく、応募者管理システムというものを活用して大学群ごとにまとめて一斉に配信している。つまり一部の学歴フィルター大学と、それ以外の学生に対して、容易に別々のメールを出し分けることが可能になっているのである。

学歴フィルターには「絞り込む」だけではなく、「優秀層(優秀と思われる層)の応募を増やす」という目的もある。年々増えている学内企業セミナーも、それにあたる。企業が、採用重点校、採用実績校を中心に個別に回り、その大学に在籍する学生だけを対象にしたセミナーを開催している。ホール等で数百社を集めて行う大規模な合同説明会タイプから、空いている教室を貸し出して行う個別タイプのものなど、種類はいくつかある。

東京ビッグサイトなどで開催される合同企業セミナーは、すべての大学の学生を対象に開催されるオープンなものだが、だからと言ってそこに参加している企業は学歴フィルターによる選考をしていないとは一概には言えない。オープンな採用活動を展開していると学生や社会に対して訴求したいだけで、本音は一部の大学の学生とだけ会えればそれに越したことはないと考えている企業もある。

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