水面下で広がる就活「学歴フィルター」の実態 大量応募への対処に大企業の半数以上が設定

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ここに面白いデータがある。HR総研が、今年6月に楽天「みんなの就職活動日記」の会員である来春卒業予定の就活生に対して、「就活を通じて学歴フィルターを感じたことがあるか」を聞いた結果だ。

「全体」では「(学歴フィルターを感じたことが)ある」と回答している学生は52%なのに対して、「旧帝大クラス(旧帝大+一橋大・東工大・神戸大)」の学生では60%に及ぶ。一般的に、学歴フィルターを感じる学生は、「学歴フィルター外」の学生に多いのではと思いがちだ。

しかしこのデータを見ると逆である。「全体」よりも「旧帝大クラス」のほうが学歴フィルターの存在を感じている。さらに言えば、「旧帝大クラス」をはじめとする「高学歴層」と「高学歴ではない層」の平均が「全体」であることを考えれば、当然だが「高学歴ではない層」が学歴フィルターを感じた割合は、「全体」よりもさらに少なくなる。

通過者だから学歴フィルターの存在がわかる

「旧帝大クラス」の学生のほうが学歴フィルターを感じた理由は、そのコメントを読むとすぐに理解できる。

・ES(エントリーシート)がどれだけ適当でもだいたい通ってしまう
・グループディスカッション会場やインターンで高学歴しかいない
・リクルーターがつくかつかないかに差があった
・高学歴のみ選考ステップがはやまる
・最終合格者はやはり一定以上の大学出身だった
・自分だけ早く面接の連絡が来る
・説明会以降の”座談会”などに参加すると、同じ大学の同じ顔触れの人ばかり見かける
・抽選なのに学歴のある人しか呼ばれていなかった

 

つまり、学歴フィルターから外されていることに不満を抱くのではなく、通過した学生だけが学歴フィルター内にいることを実感しているのだ。高学歴ではない層はそういった、フィルターを設定していない企業との出会いが多かったのかもしれないが、通過者の実態を知らないからこそ、学歴フィルターを感じることがなかったとも考えられる。

もうひとつ、企業の採用担当者を対象に調査したデータも紹介したい。HR総研では、学生向け調査では「学歴フィルター」という表現を使用するが、企業向け調査では「ターゲット校」という表現を使用している。企業によっては偏差値の高い大学から順に優遇しているわけではなく、「地方国立大学重視」や「GMARCH重視」など、バラエティに富んだ重点校を設定しているからである。

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