世界中に、図書館を建てまくる男 社会起業家、ジョン・ウッド氏に聞く

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二つ目は人に寄付をお願いすることを恥ずかしいと思わない姿勢です。慈善団体の中には、相手に気を遣いすぎて、おカネをお願いすることをためらってしまう団体がたくさんあります。だが、われわれはシャイにはなりません。「ノー・アスク、ノー・ゲット」(お願いしなければ、何も得られない)だ。マイクロソフトの営業では、粘り強さを鍛えられました。

三つめはブランディング。われわれがどういうことをしていて、どういう団体なのかということを、非常にクリアにして人々に理解してもらうことを追求しています。NPOの中には、「色々やっているみたいだが、結局何の団体なのかよくわからない」というところもありますが、それでは支援者を増やせません。「子どもの教育が世界を変える」。これがわれわれの基本理念。誰にもわかりやすく、共感を呼びやすい。

スティーブ・バルマー氏から多くを学んだ

――マイクロソフト在籍時には、スティーブ・バルマーCEOから薫陶を受けました。

スティーブは真の意味でのリーダー。彼からは多くのことを学びました。マイクロソフトを偉大な企業に成長させようという情熱を持っていて、部下にはつねに高い水準の仕事を求める。そして自らも、つねに顧客と会うことをいとわず、世界中を動き回る。私は同じものをソーシャルセクターにもたらしたいと思って行動しています。それは、いかによりよくできるかを考え改善を続けること、ビジネスの現状を把握するために現場に足を運ぶことです。

――東京を含めて、世界57カ所に「チャプター」と呼ばれる地域拠点があり、ここが年間予算の3分の1を集める資金調達の役割を担っています。

チャプターは非常に重要な役割を担っています。各チャプターはすべてボランティアで構成され、「2万5000ドルを集めて100人の女子生徒に教育を与えたい」「10万ドルを集め、20カ所の図書館を建てる」など、年間の目標・目標額を決めて達成を目指します。ボランティアのコミュニティ、家族などを活用し資金調達を行います。東京チャプターの資金調達額はつねに全世界のトップ5に入っています。

――チャプターの資金調達の手法は?

ワイン・ガラ(チャリティパーティ)、ディナーガラなどが典型的な手法です。今週の土曜日にも、東京で300人以上を集めてパーティを行います。またもっとカジュアルなイベントでは、バーでビールを飲むと、1杯につき現地語の児童書1冊の資金をバーが寄付するというようなものもあります。マラソンやトライアスロンを走り、応援する友人などから寄付をつのるチャレンジを行うこともあります。

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