世界中に、図書館を建てまくる男 社会起業家、ジョン・ウッド氏に聞く

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抜き打ち調査で課題を把握

――成果の数値化やモニタリングも徹底して行う。

モニタリングは外部の調査機関に依頼し、抜き打ちで学校を訪問する形で行っています。本を借りる仕組みがちゃんとあるか、児童が1分間で読める文字の量が以前より増えているか、利用率はどうかといった項目をチェックします。最初の3年間は3カ月に1度のペースで調査を行います。

課題がある場合、「現地のスタッフがどこがいけないのか」「どうすれば改善されるか」を考え、指導を行います。たとえば児童の文字を読むスピードが向上しない場合は、教員の数を増やす。本が十分に借りられていない場合、子どもたちが本を借りる仕組みをちゃんと理解しているかを確認したり、教師に児童の背中を押してもらうようにしたりします。

――モニタリングの手法はマイクロソフト流ですか。

部分的には、そうです。職員には教育業界のエキスパートもいて、そのノウハウを導入している面もあります。「必ずテストをして成果を検証する」という考えが、われわれの組織には浸透しています。竣工式で赤いリボンを切った時点では、なすべきことの5%も終わっていない。建物を建てて満足してはダメで、そこからが真のスタートとなります。

――マイクロソフト時代の経験はどう活きていますか。

大きく3つあります。一つ目は人材のリクルートの方法。私が在籍していた1990年代のマイクロソフトは、今のグーグルと同様、素晴らしい人材を採用することに長けていた。ルーム・トゥ・リードでも、最高の人材だけを集めるために、ほかのNPOよりもずっと厳しい選考を行っている。

たとえば、15分間のスピーチをしてもらったり、寄付者の心を動かすようなeメールを書くテストをしてもったりします。プレゼンテーションのテストもあります。問題を与えて、1カ月後に解決策を提示してもらいます。「自分で戦略を練ることができるか」「深い思考力があるか」「説得力を持って人に伝える力があるか」といった能力を、何回もの面接を通じて見ます。そうしたものがないと、うちでは活躍することができません。

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