デンソーが今、カーナビ会社を買う真の理由 自動運転に富士通テンはどう絡んでくるのか

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「大型M&Aは(デンソーの)文化に合わない。文化が合って一緒にやっていけるところと組んでいきたい」(有馬社長)。この8月にも「M&Aでの規模拡大はやらない。アライアンスは双方にウィンウィンでないと」と、松ヶ谷和沖・ADAS推進部長は強調していた。

振り返ると、富士通テンにトヨタとデンソーが資本参加したのは、1973年のこと。43年間の付き合いを経た子会社化の決断はデンソーらしい。ちなみにトヨタはこの8月にダイハツ工業を完全子会社化したが、最初の資本提携から完全子会社化までは49年間もかけた。

M&Aは目的でなく、手段でしかない。大事なのは来るべき自動運転の時代に勝ち残れるか否か。とはいえ、果敢なM&Aを仕掛けるボッシュ、コンチネンタル、ZFといったドイツ勢に比べると、スピード感で見劣りすることは事実。デンソーが富士通テンの次に、どんな一手を打つか。”身内”のトヨタも含め、業界中が注目している。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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