戦前並みの“排外主義者”にモノ申す これで東京オリンピックが来るわけない

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グローバル化の進展により、国の枠を超えて活躍する「グローバルエリート」が生まれている。しかし、そのリアルな姿はなかなか伝わってこない。グローバルエリートたちは何を考え、何に悩み、どんな日々を送っているのか? 日本生まれの韓国人であり、国際金融マンとして、シンガポール、香港、欧州を舞台に活動する著者が、経済、ビジネス、キャリア、そして、身近な生活ネタを縦横無尽につづる。
最近の日本人は、国際志向に進化する人と、戦前並みの排外主義に退化する人に二極化している(写真:ロイター/アフロ)

皆さん、お元気ですか? 私は今、フランスのおうちでトマトジュースを作ろうとしたところ、カルフールの安物だったためか壊れていて困っていた。しかしドイツ人のエンジニアの友人が傍にいたので頼むと、みるみる直してくれて、無事、トマトジュースをたくさん飲んでいる。

さて、最近、日本のインターネットを見ていると、“韓国人をたたき出せ” “殺せ” “だけどムーギー・キムだけは日本に居とどまってくれ” などと連呼するヘイトスピーチが新大久保の一部で横行しているらしい(編集部注:最後のひとつだけウソです)。しかもネットの記事を読んでいると、相当深刻な事態になってきているようだ。

Youtubeでヘイトスピーチ会合のもようや諸々の関連動画を見ていると、朝鮮人を皆殺しにしろ、絞め殺せ、ガス室に送れ、などと大声を張り上げて都内を大勢で練り歩いている。これでは私はいくら命があっても足りなそうだ。

私が日本に住んでいた頃は、韓国料理とか韓流グッズに若いお姉さんから若くないお婆さんまで殺到し、和気あいあいとにぎわっていただけに、今やネットから飛び出てきた物騒な人たちのたまり場になってるのだとしたら、残念なかぎりである。

ただし、外国人に対して狂信的に排外的な態度をとる人は、どこの国でも不況になると増える。その多くは社会的なポジションが不遇で不満な多く、その矛先が外国人だった、という展開なのだが、最近、私の友人にそれぞれの出身国の社会問題を聞いてみたところ、不況にあえぐオランダ人もポルトガル人もフランス人も移民に対する排外的態度が心配だ、と異口同音に言っていた。

しかし日本との大きな違いは、このような野蛮なヘイトスピーチはドイツなどでは法律で禁止して取り締まっているが、日本では表現の自由という表現で野放しにされている点だ。

特定の民族を皆殺しにしろ、と叫びながら街中を日章旗掲げて行進している実態が世界に知れたとき、皆さんおよび世界の人々はどう思うだろうか。政府の無策の原因が何なのか不明だが、いつものように殺人が起こって非難されるまで無策を通すのか、それとも再軍備を含むタカ派政策の推進に有利だとでも思っているのだろうか。

本問題は日本の方向性と国際的イメージを大きく左右する問題である。親愛なる「東洋経済オンライン」読者の皆様のご子息が将来どのような日本に住むのか、という問題意識をもって一緒にお考えいただけければ幸いだ。

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