ロボットアドバイザーでおカネは増えるのか 「フィンテック」という言葉がもたらす錯覚
読者の皆さんは、もうロボットアドバイザーのお世話になっているだろうか。ロボットアドバイザーとは、コンピュータプログラムが個々の投資家の志向に応じて、最適な運用資産の配分を提案するサービスのことだ。
年齢や投資経験などの簡単な質問に答えるだけで、例えば「『先進国株』『新興国債券』『金』などを組み合わせた、運用メニューを数分ではじき出す」(日本経済新聞)という優れものだ。すでに先行する米国では、大手金融機関だけで資産残高が4兆円に達するという。
いよいよ、個人の資産運用の分野にもロボットが進出してきたわけだ。将棋や囲碁という知的ゲームの分野でコンピュータがトッププロを打ち負かすレベルに達して来たことを考えると、自然の流れともいえるし、期待が高まるのも当然かもしれない。
ロボットアドバイザーは、何をやっているのか
しかし、資産運用分野の「ロボットアドバイザー」が人間を上回る適切なアドバイスをしてくれることに過大な期待を描くのは危険である。
確かに、将棋や囲碁という知的分野においてコンピュータソフトは、トッププロを打ち破るレベルまで進化してきている。だが、忘れてならないことは、それを可能にしたのはコンピュータが人間をはるかに上回る膨大な過去データの蓄積と処理速度を持ち合わせているからである。
これに対して、今日本で普及期に入ろうとしている「ロボットアドバイザー」が、「最適な運用資産配分」を提案するために、何をやっているだろうか。必要なインプットデータは、「何歳か」「投資経験はあるか」という簡単な質問だけのことも、少なくない。
人間の平均寿命は80余年ほどであるし、「投資経験」はあるかないかの二者択一である。従って、ごく単純に言えば前出の例の場合、「何歳か」「投資経験はあるか」という簡単な質問に基づいて出来る組合せは、おおよそ160通り(=80×2)しかない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら