ずっとずっと不思議に思っていたこと
まずひとつ、僕自身のこれまでの貧困問題への取材アプローチは、家出少女のセックスワーカーや非行少年長じての裏稼業人といった若い子たちへの聞き取りを入り口に、その背景にある子ども時代の貧困や虐待、ネグレクトなどの環境を浮き彫りにしていくというものがほとんどだった。むしろ子どもの貧困は後発で、アウトサイダーとしての彼ら彼女らを取材していたら、そのバックグラウンドがみんな貧困まみれなことにいちいち驚いていたというのが取材初期の本音だが、それはさておき、そんな取材の当初から、ずっとずっと不思議に思っていたことがある。
「なぜアウトサイダーの少年少女は、こんなにもとがったパーソナリティばかりなのだろう」
これまでの著書でもたびたび言及しているが、未成年の段階ですでに裏社会に入ってしまっているような不良少年少女の取材の中で、そこにいわゆる発達障害を想起させるような言動や、パーソナリティの持ち主があまりに多いことに僕は何度も驚いてきた。彼ら彼女らは、そしてその周囲にいる同年代の子たちは、もうどうしてというほどに極端なパーソナリティの持ち主が多かった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら