なぜ「シン・ゴジラ」で鉄道が大活躍するのか 庵野総監督の「鉄道愛」が名場面を生み出す
マイクロエースは制作協力しているとはいえ、同社の模型は作中には登場していない。「登場人物の一人が“模型鉄”で執務室に鉄道模型を飾っているという設定で、模型をお貸ししたのですが、結局そのシーンは使われなかったようです」(マイクロエース)。
ゴジラ映画に出てくる鉄道といえば、通勤電車が突如現われたゴジラに踏みつぶされたり、果ては口にくわえられたりと、散々な扱いだった。ところが、「シン・ゴジラ」では、これまで”やられキャラ“だった鉄道車両が終盤に大活躍する。未見の人もいるだろうから詳しくは明かせないが、JR東日本やJR東海に確認したところ、両社とも「制作協力は行っていない」という。ただ、鉄道の活躍ぶりに溜飲を下げた鉄道関係者も多いに違いない。
庵野監督は鉄道愛好家だった
これまでのゴジラ映画と比べて、「シン・ゴジラ」で鉄道の存在感が大きいのはなぜだろうか。
その答えを握っているのが脚本・編集・総監督を務めた庵野秀明氏だ。庵野氏が手掛けた映画には「鉄道」が重要な役割を担うことが多い。アニメ映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」では、首都の荒廃を示す象徴として大地に突き刺さった通勤電車が出てくるし、DD51形ディーゼル機関車は使徒殲滅を目指す「ヤシマ作戦」に参加する。実写映画の「式日」は線路端がモチーフ。「ラブ&ポップ」ではGゲージの模型にカメラを乗せて撮影したという。果たして庵野氏は鉄道ファンなのか――。
「鉄道ファンといわれるのはおこがましい。“好き“という程度です」。庵野氏は聴衆の前で鉄道について語った。8月6日に開催した全国の高校生が自作の鉄道ジオラマを競う「鉄道模型コンテスト」(会場:東京ビッグサイト)の席上でのことだ。
昨年11月からJR西日本の新幹線500系をエヴァンゲリオン風に塗装した「500TYPE EVA」が走行しているが、庵野氏はこの列車の監修を務めている。鉄道模型メーカーの関水金属が「500TYPE EVA」をNゲージモデル化して鉄道模型コンテストの会場で限定販売することになり、その関連イベントとして、庵野氏や「500TYPE EVA」のデザインを担当した山下いくと氏らが参加するトークショーが開催されたというわけだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら