円高の"紙風"でしぼんだ製紙業界の再編機運 業界4~6位のこじれきった関係で鳴り潜める

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北越紀州製紙の新潟工場と大王製紙の三島工場。両社は一時、製紙再編の核ともみなされていた(記者撮影)

業界大手に対抗する準大手どうしの「第三極」結集か、あるいは大手2強を軸にした準大手・中堅に対するM&Aか――。製紙業界では1年ほど前、「業界再編」に向けた動きが盛り上がっていた。ところが今、そうした動きはすっかり鳴りを潜めている。なぜか。

”再編論者”も心変わり?

昨年4月、販売子会社どうしの統合が破談となった、業界5位の北越紀州製紙と6位の三菱製紙。北越紀州は「一方的に統合協議を打ち切られた」と主張し、三菱製紙に対して販社統合協議に要した弁護士費用など約4000万円を支払うよう東京簡易裁判所に民事調停を申し立てていた。が、この7月に両社は調停に合意した(合意内容は未公表)。

製紙「第三極」結集を持論とする北越紀州の岸本セキ夫(セキの字は「折」の下に「日」)社長は、三菱製紙が販社統合破談にかかわる費用負担に応じるなら、「関係健全化は可能」と表明してきた。が、いざ調停合意にこぎ着けた現時点では、「岸本社長には、三菱製紙などをからめた“第三極”の発想はなくなっているのではないか」(北越紀州幹部)という。

その北越紀州は昨年12月、業界4位の大王製紙の経営陣に対し、総額88億円の損害賠償請求訴訟を東京地裁に提起。現在も訴訟関係にある。北越紀州は大王の発行済み株式の21%を保有する筆頭株主だ。昨年9月に大王取締役会が転換社債(CB)発行を決めたことで、株式の希薄化リスクから大王の株価を下落させたとして、損害賠償請求訴訟を起こした。北越紀州は、三菱製紙との販社統合破談の裏にも大王の動きがあったのではないかと主張している。

製紙「第三極」結集の核と目される業界4~6位のこじれきった関係が、業界全体の再編機運を後退させているのは確かだ。が、それだけでもなさそうだ。

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