マルエツ社長が断言、「個人消費は悪くない」 最高級「A5和牛」がスーパーで売れているワケ

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7月29日に新装開店した「マルエツ 南行徳店」(千葉県市川市)。オープン前には多くの人が並んだ(撮影:今井康一)
個人消費はマクロの指標でみると力強さを欠くが、首都圏を中心とする食品スーパーの売り上げは総じて堅調だ。消費増税後の2014年度と2015年度に、既存店売上高が2期続けて高い伸びを示したにもかかわらず、2016年度に入っても前年を上回り続けている企業が多い。業界最大手のユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスもその1社だ。同社社長で、事業子会社であるマルエツの社長も務める上田真氏は、「個人消費は悪くない。節約志向はごく一部」と言い切る。その真意を聞いた。

 

最高級和牛が伸び率1位

――個人消費は低迷しているのでしょうか。

上田真(うえだ まこと)/1953年生まれ。1976年にマルエツ入社。2013年よりマルエツ社長。2015年からは、マルエツ、カスミ、マックスバリュ関東の3社が経営統合して設立した、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスの社長も兼任(撮影:尾形文繁)

決して悪くない。節約志向は若干増えているかもしれないが、節約へシフトしているお客さんは、おそらく全体の5%もいない。首都圏のマーケットはまだ熱い。確かに、既存店月次売上高の前年比伸び率は、昨年は3%以上が当たり前だったが、今年は1%台後半にとどまっている。それをもって「悪い」という報道があるかもしれないが、前年を上回っているのだから堅調だ。

――節約志向だから食品スーパーが伸びているという見方もありますが。

それも違う。消費増税をした後の2014年度・2015年度は、多くの首都圏スーパーが価値志向に走った。値段が高くても、品質のいいものを売っていこうという戦略だ。われわれも2013年度下期から価値志向を進めた。

それが消費者ニーズに見事にマッチし、既存店売り上げは高い伸びを示した。たとえば、最高級のA5ランクの霜降り和牛を2014年度から全店に置いたところ、2015年度も牛肉部門で最も伸びた商品となっている。足元も悪くない。こうした流れは節約志向では説明がつかない。

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