フィンランドの会議は、日本の15分の1 「上司の顔色をうかがうなんて、非効率です」

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たとえば、実際に会わずに、メールだけで打ち合わせを済ませることもあります。それはフィンランドでは失礼なことではありません。メールに書類を添付して送ると、それを相手が見て返信し、契約は終了です。打ち合わせのときなどは、前もってみんなが準備できるように、アジェンダを送っておいたほうがいいですね。

――仕事帰りに、みんなで交流を深めるために食事に行くなどということもないのですか?

ユッカ・パヤリネンさん:フィンランドでは「居酒屋」の文化はありません。仕事が終わった後はみんな家に帰ります。男性も食事を作ったり、家事をするのが当たり前なので、夕方は子どもをお迎えに行ったりで忙しいのです。

たとえ日本人が誘っても、断られるでしょうね。まあ、仲の良い同僚であればたまにはありますが、日本のように週に1度などというような頻度ではありえません。

――会議の中で余談はなく、コミュニケーションも効率化されているとなると、どうやって同僚と関係を築くのですか?

ユッカ・パヤリネンさん:実はそこがこれから改善すべきところかもしれませんね。仕事も大切だけれども、家族や自分も大切なので、仕事上の関係がビジネスライクにならざるをえないのが現状です。

あいさつの仕方も、仲良くなればほっぺたにキスをすることもありますが、ラテンのようにボディタッチまではあまりしません。

重要事項は、サウナで決まることも

――「サウナ」の文化があると聞くのですが、それは1つのコミュニケーションの「場」ですか?

ユッカ・パヤリネンさん:そうなのです。フィンランドでは「サウナ」は大切な場です。ビジネスを進めているとそのうちサウナに誘われると思っていいでしょう。リラックスした場で話を進めるということでは、日本の温泉に似た文化でしょうね。カジュアルな雰囲気になって話がしやすいので、サウナで決断が下される事もあります。誘われる事は意識したほうがいいですね。

――男性も家事をするという話が出ましたが、「Equality(平等)」もフィンランドのビジネスでは大切だと、初めにおっしゃっていましたね。フィンランドは1906年にヨーロッパで初めて女性の投票権が認められたとか?

ユッカ・パヤリネンさん:フィンランドは世界で最初に女性の投票権と参政権両方が認められた国です。

――女性の8割が働いているのですよね。

ユッカ・パヤリネンさん:女性はずっと働いていました。100年前、フィンランドは裕福な国ではなく、多くの人が農業に携わっていました。女性が働いている理由は、女性も働かないと人手が足りないからということもあったのです。

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