型破りすぎる!伝説の「東大の日本史」問題 解答へのダメ出しがそのまま問題に
史料を与えて歴史の「なぜ」を多角的に問う、ありきたりな空欄問題や○×問題とは一線を画した東京大学の日本史の入試問題。前回記事「『東大の日本史』問題はありえないほど面白い」で、その魅力と歴史を学ぶ意義を解説した、『10時間で歴史に強くなる 東大の日本史ワークブック』(かんき出版)の著者である予備校講師の相澤理氏に、今回は今なお語り継がれる伝説の問題を紹介してもらった。
受験生の答案へのダメ出しを出題文に
突飛ではないが鋭い視点を持った独自の問題を出題する、「東大の日本史」入試問題。数ある「東大の日本史」の傑作問題の中でも、受験生ならびに筆者が現在身を置く予備校界にも衝撃を与えたのが1983年度の問題である。
【問】
次の文章は、数年前の東京大学入学試験における、日本史の設問の一部と、その際、受験生が書いた答案の一例である。当時、日本史を受験した多くのものが、これと同じような答案を提出したが、採点にあたっては、低い評点しか与えられなかった。なぜ低い評点しか与えられなかったかを考え、(その理由は書く必要がない)、設問に対する新しい解答を5行以内で記せ。(1983年度第1問)
なんと、受験生の答案にダメ出しして、数年前と同じ問題をもう一度出題したのである。こんな芸当ができるのも、「東大の日本史」はすべて論述形式で出されるからである。
当時は、「この答案例はとある予備校の模範解答である」という、まことしやかな風説が流布していた。これは事実ではないにしても、この問題を出題した東大の先生が、受験生たちの答案に満足していなかったことは明らかである。「何やら東大対策を講じているようだが、きちんと歴史を教えているのか」という、予備校界に対する挑戦状であったとも受け止められるのではないだろうか。
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