昼は空席ばかりでも、バス会社が儲かる理由 大は小を兼ねるのか?

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そういうわけで、大は小を兼ねることはバスの運用においては正しいですが、その一方で経営、特に本稿のテーマの企業再生経営においては、必ずしも大は小を兼ね「ぬ」ように思います。

もっと言うと、あくまで私の感覚でしかありませんが、中小企業の経営というのは大企業の経営とは全く異なるように感じます。もちろんその違いは、どちらが難しいかという話ではありません。双方は互いの延長線上にはなく、全く別物というイメージが近いかもしれません(同じような規模で異なる産業の場合よりも、同じ産業でも規模が異なる方が経営のやりかたに違いが生じるとさえ感じます)。

少し具体的に述べます。

最優先すべきは、社内人材の発掘と適材適所

まず、中小企業は人材マネジメントのやり方が大企業とは全く違うように思います。企業は人なりというのは規模によらず共通のことですが、人数が少なければ少ないだけ、相対的に一人あたりの実力が問われてきます。ではその分少数精鋭になれるかというと、そういうわけでもありません。社員の吸引力は大企業の方が当然強力です。

新しく人を雇うにあたり、そもそも再生企業の費用は常にカツカツですし、いざ捻出できても社内の給与テーブルが低すぎて合いません。給与テーブルを合わせようと整合性を取り始めると、人件費全体が高騰して手をつけられなくなります。

それを懸念し個別に一本釣りをして、その人に例外的に社内相場とかけ離れた水準を設定するのもないわけではないですが、よほど注意しないと他社員との不公平感から、多くの場合収拾がつかなくなります。そうなると現在の社員のみを戦力とし、前に進んでいくというのが実質的な対応にならざるを得ません(念のために補足しますが、私の趣旨は既存の社内人材を否定するものではありません。会社が破たん寸前の立場にありながら逃げ出そうとせず、あえて残って頑張っている人はどの企業にも必ず一定割合はいるものです)。

そのような制約条件の中では、人材マネジメント上、経営陣の優先してやることは、社内人材からの人材発掘と適材適所の配置に尽きます。

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