昼は空席ばかりでも、バス会社が儲かる理由 大は小を兼ねるのか?

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具体的には、外部からコンサルタントやアドバイザーを雇う、特定の手法やノウハウを導入するなどのアプローチです。

私も職場にいると、社外のいろいろな事業者から売り込みを受けます。今のバス会社でいえば、この添加剤を使えば燃焼力が高まって燃費が良くなる。このマーケティング手法を使えばお客様の動線を分析でき最適のバス路線を再構築できる。この管理システムを入れれば、勘定が精緻に把握でき、経営の意思決定がスピーディにできる――。

それらの提案に対し、再生局面という立場で費用対効果と併せシビアにみると、提案のほとんどは社員で頑張れば何とかなるものか、成果に結びつくために多くの不確定要素を伴うか、のどちらかです。

価値を感じる3タイプの提案

ただし、そういう事業者からの提案の中でも、起用する価値を感じた提案も相応にありました。そのような提案は、傾向として大きく3タイプに分類できるように思います。

1つ目は、売上そのものに確実に貢献するタイプの提案です。

要は顧客を紹介してもらい一定の手数料を取るパターン。これは紹介業に近いかもしれません。企業再生で最終的に目指すのは売り上げ成長です。費用削減から利益をねん出するのはあくまで一時的なものです。無理をしても長くは続きませんし、そもそも出血を止めるのと健康になるのとは質的に異なります。会社を健康にしてくれる売り上げ貢献にコミットする提案は、大変魅力的に映りました。

2つ目は、中身はどうあれ完全成功報酬型の提案です。

これはどちらかというコスト削減系が多いですが、一定の削減幅が成果として出たら、その一部を手数料として払うモデルです。提案が成功した段階で初めて支払いが発生するので、リスクも少ないしとりあえずやってみてもよいか・・・というモードになります(これらのサービスにコスト削減系が多いのは、顧客の購買意欲に左右される売り上げサイドより、自社での分析と確固たる意志があればどうにかできる費用サイドの方が、成功率が高いからかもしれません)

最後の3つめは、組織育成につながる提案です。

これは要するにプロジェクトを一緒にやって内部の社員を鍛え、成長を促してくれるモデルです。プロジェクトの中身にあまりこだわりはなく(もちろんうまくいくに越したことはありませんが)、もし結果が出なかったとしてもとにかく社員を巻き込み、プロジェクトの論点整理・進捗管理という一連のプロセスを普遍的なフォーマットとして将来の再現性を得られればそれで十分だと思います。

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