安倍政権参院選圧勝で日本株が低迷する理由 「改憲勢力3分の2」は大きな副作用をもたらす
7月10日に参議院選挙の投開票が実施された(改選数は121)。与党(自民党、公明党)の議席数は、改選過半数61を大きく上回った。
憲法改正に前向きな「改憲4党」(自民党、公明党、おおさか維新、日本のこころを大切にする党)の議席数については、非改選分と合計すると、憲法改正案の国会発議に必要な「参院の3分の2」(=162議席)には、わずかに及ばなかった。だが非改選議員の中には改憲に前向きな議員が複数いる。そのため、実質的には「3分の2」を確保、発議が可能になった。この結果を元に、東京株式市場が今後どういった動きを見せるか、予測してみたい。
なぜ「圧勝」が「日本株の低迷」につながるのか
結論から言えば、11日の株式市場こそ上昇するかもしれないが、「改憲勢力3分の2以上の獲得」は、結局は、経済政策の停滞、すなわち日本株の低迷につながると考える。
なぜそう言えるのか。この際、各党のすり合わせを実施していない状況で、憲法のどの条項を、どのように改正するのかといった議論は置いておく。ひとことで言えば、改憲勢力が3分の2以上となれば、憲法改正に向けた動きや議論が実質的に「安倍政権の一丁目一番地」となり、成長戦略など経済政策は二の次となる可能性があるからだ。
憲法改正は、もともと1955年の自民党結党以来の悲願とも言うべき目標である。当然、今回の参議院選挙の結果は大きな意味を持つ。しかも、今後、しばらく国政選挙の実施は予定されていない。今後、安定した国会運営のもと、憲法改正(具体的に何条をという議論はこれから)の動きが徐々に加速する可能性がある。
安倍首相は、引き続き経済を重視する旨の発言を繰り返している。だが、極論すれば、今後は経済政策を多少おろそかにして株価が下落しても、当面は安定した国会運営が可能だ。であれば、改憲に際しては慎重を期しつつも、自らの色を打ち出すことができる。これが今後のメインシナリオだ。
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