4℃の独り勝ちを引っ張る「売れすぎリング」 アパレル仕込みの鮮度&価格戦略とは?

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4℃ホールディングスの鈴木社長は「まっとうな経営」という言葉を好んで使う。それを実践しているところに、強さの秘密があるようだ

低迷が続くジュエリー業界にあって、4℃ホールディングス(以下、ヨンドシー)の好調ぶりが目立っている。7月4日に発表した今2017年2月期の第1四半期(2016年3~5月)は、同期間として過去最高の純利益を記録。通期でも5期連続で過去最高益を更新する見通しだ。

ライバル各社を見ると、As‐meエステールは前期に純利益が8割減となり、ツツミは最終赤字。ベリテは長らく無配を続けている。各社とも今期は増益を見込むものの、過去最高の利益水準には遠く及ばない。ライバルが売上高の維持に汲々とする既存店でも、ヨンドシーは今期3%増収(前期は6.7%増収)を見込む。まさに、ヨンドシーの“独り勝ち”だ。

その強さの秘密は、いったいどこにあるのか。

「二極化」したジュエリー市場に、素早く対応

国内のジュエリー小売市場は、ピーク時の1991年に3兆円強に達したが、長期低落傾向が続き、現在は1兆円以下に落ち込んでいる。2008年のリーマンショック後は、1万~2万円程度以下の低価格品しか売れなくなっていたが、2012年末頃からは、アベノミクスによる株価高騰を受け、富裕層向けに10万円以上の高価格品の需要が復活した。

その結果、市場は二極化。高価格品と低価格品だけが売れ、中価格品は不振が続いている。従来、ジュエリー小売チェーンの多くが得意としてきたのは中価格品であり、二極化への対応は遅れぎみ。それが業績を直撃した。ちなみに、足元では株価下落や富裕層の訪日外国人による爆買い一服が影響し、高価格品のうち数十万円以上するような商品の売れ行きは鈍っているようだ。

そんな状況の中、ヨンドシーはいち早く二極化対策に取り組んできた。商品の平均販売単価は3万円前後で他社と大きな差はないが、数年前から10万円前後の高価格品と2万円程度以下の低価格品に注力してきた。数十万円以上の商品は扱いが少ないため、最近の高価格帯の鈍化とも無関係だ。

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